経口投与の新薬を開発中

ご承知のとおり、治療薬の研究は現在世界中で進められています。NCGMでも新薬の開発に取り組んでいて、新型コロナウイルスに対して強力な活性を発揮する化合物をすでに開発しています。私たちとしては、新薬は経口投与できるものにしたいと考えています。一日の服用回数は1回から3回、服用期間は1週間から10日を想定しています。

国立国際医療研究センター『それでも闘いは続く コロナ医療最前線の700日』(集英社インターナショナル)
国立国際医療研究センター『それでも闘いは続く コロナ医療最前線の700日』(集英社インターナショナル)

PCR検査で陽性だと判定された人がその薬を飲んだとき、高い中和活性を持っている人と同等のレベルでウイルスがブロックされる。なおかつ、体内にウイルスが入ったことによって免疫システムが作用し、中和抗体が生まれる。そうした薬の開発を目指しているのです。

今しがた述べたとおり、私たちが開発した化合物は、新型コロナウイルスに対して強力な活性を発揮します。しかし、これを薬として世に送り出すまでには、まださまざまなことを検討・確認しなければなりません。飲み薬にするためにはどうすればいいのか。1日に最大3回、最長10日の服用で十分な効果を得るためには、どうすればいいのか。有効成分は飲んでからどれくらいで血中に現われ、どれくらいで半減するのか。

そうした検討や確認を一つ一つしていかなければならないわけです。何より重要なのは副作用の有無です。人体に悪い影響が出るのか、出ないのか。そこは特に綿密な検討をしなければなりません。いずれもなかなか大変な仕事ではありますが、日々少しでも前進していけるよう、これからも全力で取り組んでいきたいと思っています。

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