「配偶者控除」は配偶者の所得が一定以下の場合に税金の控除が受けられる制度だ。税理士の出口秀樹さんは「適用されるかどうかは12月31日時点で判定される。そのため結婚するなら年内、離婚するなら年明けが得だ」という――。

※本稿は、出口秀樹『知れば知るほど得する税金の本』(知的生きかた文庫)の一部を再編集したものです。

婚姻届け 用紙
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離婚や死別をしたら使える税制

個人の時代といわれる現代。いわゆる“おひとり様”は特別なものではなくなっています。人生において最大のイベントである結婚も従来のステレオタイプなものではなく、様々な形が認められています。

このような社会情勢の中、税制も対応していかなければならないという趣旨からか“おひとり様”に対する取り扱いも変わってきています。

不幸にしておひとり様になってしまったというケースには、寡婦控除というものがあります。寡婦とは、原則としてその年の12月31日で、次に解説する「ひとり親」に該当せず、次のいずれかに当てはまる人です。また、納税者と事実上婚姻関係と同様の事情にあると認められる一定の人がいる場合は対象となりません。

(1)夫と離婚した後婚姻をしておらず、扶養親族がいる人で、合計所得金額が500万円以下の人
(2)夫と死別した後婚姻をしていない人又は夫の生死が明らかでない一定の人で、合計所得金額が500万円以下の人

離婚した場合は扶養親族がいなければ対象になりませんが、死別の場合は扶養親族の有無は問われません。寡婦控除は所得から27万円控除されることになります。

過去に結婚していなくても使える「ひとり親控除」

寡婦控除に似た控除としては、次のひとり親控除があります。寡婦控除は女性にしか適用されませんが、こちらのひとり親控除は男女とも適用される制度です。

ひとり親とは、原則としてその年の12月31日の現況で、婚姻をしていない又は配偶者の生死の明らかでない一定の人のうち、次の3つの要件のすべてに当てはまる人です。

①その人と事実上婚姻関係と同様の事情にあると認められる一定の人がいないこと
②生計を一にする子がいること
この場合の子は、その年分の総所得金額等が48万円以下で、他の人の同一生計配偶者や扶養親族になっていない人に限られます。
③合計所得金額が500万円以下であること

ひとり親控除は所得から35万円控除できますので、前述の寡婦控除よりも控除額が大きく節税効果があります。

ひとり親控除の最大の特徴は、寡婦控除と違って過去に結婚していたという条件がないことです。未婚であっても生計を一にする子どもがいれば対象となるのです。

ひとり親控除ができる前は、特別の寡婦として控除がありましたが、こちらは過去の婚姻関係があることを前提としていたため未婚の場合は控除を受けることができませんでした。

ひとりで子どもを育てている方には使い勝手の良い控除制度となっています。