中国ではなく、トップの習近平氏の歪みに問題がある

中国の習近平政権にとってアメリカが先陣を切った外交的ボイコットは大きな痛手になる。習近平国家主席は北京冬季五輪の成功を中国国内に強く印象付けることによって自らの政権の権威と求心力をさらに高め、来年の中国共産党大会で3期目の政権を発足させようともくろんでいる。建国の父、毛沢東と肩を並べる党主席の地位に就任するための足場固めに五輪を利用しようとの打算がある。オリンピックを政治利用しようとしているのは、習近平氏自身だ。

習近平氏は7月1日の中国共産党創設100年の祝賀式典の演説で、「統一を実現することが中国共産党の歴史的任務だ」と台湾への軍事的な脅しや圧力を正当化し、香港については「国家安全維持法で民主主義を取り締まり、長期的な繁栄と安定を維持する」と暴力で民主派勢力を一掃した行動を肯定した。

習近平政権は、東シナ海に軍事進出し、南シナ海ではサンゴ礁の海を埋め立てては人工の軍事要塞を築き上げている。日本に対しては沖縄県の尖閣諸島を「中国の領土の不可分の一部」と主張し、尖閣諸島の周辺海域に中国海警船を出動させ、日本漁船を見つけては強制排除の行動を取る。

新疆ウイグル自治区についても台湾や香港と同様に「絶対に譲ることのできない核心的利益。他国の口出しは内政干渉に当たる」との主張を繰り返す。

断っておくが、大きく歪んでいるのは中国という国ではなく、トップに君臨する国家主席の習近平氏である。習近平体制が崩壊すれば、中国は国民の自由と基本的権利を重視する国家に生まれ変わる可能性もある。だが、それには香港の民主派市民のように中国の国民が民主主義に目覚めなければならない。

北京の夜市では、習近平のフェイスプレートなどのキッチュな品々を売る土産物屋がある
写真=iStock.com/bushton3
※写真はイメージです

「習近平政権を称揚する場にしてはならない」と産経社説

12月9日付の産経新聞の社説(主張)は「五輪・パラリンピックは平和の祭典だ。弾圧の責任者である習近平国家主席とその政権を称揚する場にしてはならない。外交的ボイコットは当然である」と訴える。

そもそも平和の祭典に専制主義の中国は馴染まない。習近平政権下でオリンピックを開催すること自体が間違っている。

さらに産経社説は岸田政権の言動に言及した後、こう主張する。

「いかにも悠長な(岸田首相の)発言で深刻な人権状況への憤りが感じられない。中国政府が全く反省していないのだから、日本のとるべき道は明らかではないか」
「外交的ボイコットの輪に加わることだ。首相や閣僚、スポーツ庁長官を含む政府使節団見送りは欠かせない。人権侵害制裁法(日本版マグニツキー法)制定も急務である」

人権侵害制裁法の制定はともかく、岸田首相は早急に外交的ボイコットを表明すべきである。経済力と軍事力をバックに世界制覇を狙う中国・習近平政権に反対する絶好のチャンスだ。産経社説の見出しも「外交ボイコット 首相は旗幟を鮮明にせよ」であるが、岸田首相の鼎の軽重が問われている。