お客に選ばれる店の共通点はなにか。ビジネスコンサルタントの三坂健さんは「ポジショニングを考え、ねらいを定めることで、『戦わずして勝つ』ための戦略を描くことが重要だ。たとえばユニクロはその典型的な成功例といえる」という――。

※本稿は、三坂健『戦略的思考トレーニング』(PHPビジネス新書)の一部を再編集したものです。

ユニクロの店頭に掲げられた看板=2021年4月20日、東京・銀座
写真=時事通信フォト
ユニクロの店頭に掲げられた看板=2021年4月20日、東京・銀座

小学生に人気のちゃんこ屋の秘密

あなたは、日本で一番高い山をご存じでしょうか? ……はい、富士山ですね。

では、2番目に高い山をご存じですか?

正解は、北岳。南アルプスの名峰ですが、日本で2番目に高い山を聞かれて答えられる方は少ないのではないでしょうか。

このように、人は一番のものを記憶にとどめ、話題にし、広める傾向がある一方で、2番目より下になると、その印象が一気に薄れてしまいます。

ですから、No.1をとれば、過度なプロモーションや営業活動に依存しない、「いい戦略」が可能になります。

「No.1をとるのは大企業でないと無理だ」と思われるかもしれません。しかし、そんなことはありません。次の演習問題を考えてみてください。

【演習問題】
私には、家族で月1回程度行く、行きつけのちゃんこ屋さんがあります。味やボリューム、店の雰囲気が好きで、「ちゃんこといえばここ!」と、私の頭の中では「ちゃんこ屋No.1」の店です。
小学生の子どもたちも行きたがるのですが、理由は私とは少々違うようです。
子どもたちにとっては、何が魅力的なのだと思いますか?

さっそくですが、正解をお伝えしたいと思います。