実質実効為替レートの推移は、図1に示す通りである。最近は、実質実効為替レートが下落する方向に向かいつつあるように見える。

確かに、国民の生産活動、消費活動が変わらないのであれば、円の国際的購買力が増加すること(円高)は望ましいことである。しかし、本稿の趣旨は、実質実効為替レートの下落(円安)を過度に避けようとすると、日本人が外国で売買する条件は確かに良くなるが、国内ではGDPや雇用の減少が生じて、日本人は全体として貧しくなってしまうということだ。