2020年(1~12月)、プレジデントオンラインで反響の大きかった記事ベスト5をお届けします。社会部門の第2位は――。(初公開日:2020年12月17日)
若い女性がデートや性行為の対価として年上の男性からお金をもらう「パパ活」。なぜ女性たちはリスクを負いながらパパ活をするのか。パパ活を題材にした小説『彼女のスマホがつながらない』を執筆した小説家の志駕晃氏は「私の取材したケースでは、パパ活の動機は、生活費、学費、奨学金返済と切実でした」という――。(前編/全2回)
売春
写真=iStock.com/Tero Vesalainen
※写真はイメージです

これまでの「売春」とは少し形が違う

――パパ活を取材し、小説を書こうとしたいきさつを教えてください。

パパ活について調べようと思ったのは、去年の夏ごろのことでした。知人の女性が町中でスカウトマンに声をかけられたというのです。

「パパ活、どうですか」

キャバクラや風俗のスカウトなら聞いた経験はありましたが、パパ活のスカウトなんて初めて聞きました。2017年、フジテレビのインターネットテレビで「パパ活」というドラマがつくられたのは聞いていましたが、実態はほとんど知らなかった。

そもそも私自身がパパ活に違和感を抱いていたのです。

一般的に、パパ活とは、肉体関係なしで裕福な年上の男性と食事をしたり、デートをしたりして、お金をもらう活動です。父親にお金をねだる父娘の関係に似ているから、パパ活と呼ばれるようになったそうです。

性的な関係の代償にお金をもらう。それなら昔から続いてきた売春だと理解できます。「援交(援助交際)」や「ワリキリ」……。時代とともに新たな呼び名が生まれましたが、セックスで報酬をえる売春には違いありませんから。

けれども、パパ活について調べてみると、これまでの売春とは少し形が違うらしいと徐々に分かってきました。