「働かなければ」と思っても、思うように体が動かない。そんな状態に陥ってしまったとき、どうすればいいのか。ノンフィクション作家の吉川ばんびさんは「完全に倒れてからでは休息期間や治療期間が長くなる。そうなる前に生活保護という選択肢を考えてほしい。心の悲鳴を無視してはいけない」という——。
「限界です」という若者からのSOS
新型コロナウイルス感染症の拡大が続く中、経済的に限界を迎え、生活困窮状態に陥る人々の悲鳴が続々とあがっている。
とりわけ若者の生活保護受給が増加しており、現場で貧困支援をしている団体によれば、これはいまだかつてない傾向であるという。この状況から、いかに新型コロナウイルス感染症の影響が大きく、膨大な数の失業者や貧困家庭への公的補助が追いついていないかがうかがえる。
貧困問題について執筆することの多い私の元にも、コロナ禍以前に比べて読者からの相談が増えた。私はもともと支援に直接携わる仕事をしているわけではなく、相談窓口を公に開いているわけでもないため相談の数がそこまで多いわけではないが、これまでは月に1〜3件ほどだった相談が、今では10件ほど、約3倍にまで達している。しかしそのような状況下で私が問題だと感じているのは、その数だけではなく、寄せられる相談内容である。
先日私に連絡をくれたのは、まだ20代の働く女性だった。彼女は精神科への通院歴があり、現在は非正規雇用で働いているが、持病の悪化により精神・身体ともに限界を感じているという。「働かねば」と強く思う一方で、身体がつらくてどうしても会社にいけない日もあるといい、少しでも自分に適した環境で仕事を続けたいという思いから、転職をくりかえしながらどうにかここまでやってきた。
てっきり「こういう状況の場合、何か公的な支援を受けられるでしょうか」という相談だろうと思いつつ彼女から送られてきた文面を読んでいたのだが、最後の最後に書かれていた彼女からの質問内容に思わず驚いてしまった。