僕が考える中年の「最高の着地点」

しかし、やられっぱなしではありません。我々は老いに抗えるのです。

お腹が出てこようものなら糖質制限とランニングで抗い、シワにはスキンケアで抗います。

中にはすべてを放棄し、ただ受け入れている人もいるし、全力で抗う人もいる。そんな同世代を横目に、僕はすべて受け入れるのでもなく、全部拒否するわけでもない。

たとえば僕は、自分の中で「これでOK」というラインを設定しています。体型に関しては毎年同じサイズの洋服が着られて、腹筋が薄っすらでも割れていればOKとしているし、スキンケアも自分が毎日欠かさず行えるケアでよしとしています。今はまだありませんが、目立つシミができたら医療の力で取る予定です。

ウエスト
写真=iStock.com/michellegibson
※写真はイメージです

そうやって、しっかり老いには抗ったうえで、理想と現実の間に最高の着地点(妥協点ともいう)を見つけ、そこにヒラリと着地しています。それが、中年の階段を上手に上るコツだと思います。

だが白髪はどうしても許せない…

しかし、数々の中年化現象の中で、いつまで経っても折り合いがつかないものがあります。

白髪です。

朝、起きる。洗面所に行き、全裸になり体重を測る。体重は自動的にスマホのアプリに転送され、折れ線グラフ化される。服に着替え、歯を磨き、顔を洗う。ここまでは毎日のモーニングルーティーンです。そしてここからもう一つ、大事なルーティーンが始まります。

寝癖を直す際に、洗面所の鏡の前で髪の毛をこねくり回すのです。右手には毛抜きを持ち、左手で髪の毛をこねくり回し、角度を変え、視線を変え、血眼で、可能な限り髪の毛を観察します。白髪を見つけるためです。

運よく髪の毛は潤沢です。自分の長所を挙げろと言われれば迷わず「毛量」と答えます。しかし、35歳くらいからでしょうか。大量の黒い髪の毛に混ざり、ちらほらと白髪を見かけるようになったのです。これを、僕は許すことができない。

右から左に分け目を1センチずつずらし、ローラー作戦でじっくり観察していきます。もみあげや額の生え際は要注意。見逃しがちです。コツは、ゆっくり探すこと。なぜなら、白髪を見つけた瞬間に動きを止めないとすぐに見失ってしまうのです。一度見失った白髪を再び探し出すのは困難です。

白髪探しはゆっくり、確実に。これが鉄則です。白髪を見つけたら地の果てまで追いかけ抜かないかないと気が済みません。