当たり前になっているPTAの「活動強制」

また、毎年全員が何らかの役につく「一人一役」のルールを採用しているPTAでは、全員に役が行き渡るよう、必要以上に「仕事」をつくり出していることもあります。PTA全体の取りまとめ役、本部役員を決めるときや、委員長(部長)を選ぶときも、クラス役員決めと同様、またはもっとシビアな状況になりがちです。

もちろん、こんなのは間違ったことです。PTA活動は任意ですから、無理をして役員や委員をやる必要もなければ、「できない理由」を人に言う必要も、本当はありません。でも保護者たち、特に母親たちは活動に参加しないと他の保護者から陰口を叩かれることを恐れ、自ら活動強制に従い、且つ他の人たちに活動を強制し続けてきました。

活動の現場でも、強制は起きます。委員長さんが「必ずこの日に来てください」というタイプの人だと、ヒラの委員は従わざるを得ません。「未就学児を連れてきてはいけない」と言われ、小さい子を家に留守番させて参加するようなケースも見られます。

会長は父親ばかりで現場の活動は母親の義務

——「会長は男性。副会長の父親は何もしなくてよい」と引継ぎがある。(ふーたさん)
——運動会の“お母さん”による来賓への「お茶汲み」は時代錯誤だからやめようと提案。もちつき大会で「お父さんの手洗い、指先チェックは、お母さんが行ってください」という項目を「男女差別なので削除してほしい」と提案した。(うめさん)
——ママ友にPTAの愚痴を話していたら、友人の夫が横で「おやじの会は飲んでるだけだから楽しいよ!」と言い、殴りそうになった……。(暴力反対さん)

ジェンダーバランスが異様に偏っていることも、PTAの最大の問題点のひとつです。

まず大半の地域では、会長は男性ばかり。公立小中学校のPTAの女性会長の割合は、たった14.8%です(内閣府調べ2020年12月時点)。対照的に、会長以外は母親ばかりです。活動への参加は、なぜか「母親の義務」と思われており、父親はほぼ想定されていません(稀に、シングルファザーが「母親」カウントされるケースも見かけますが)。

湯飲みに注がれたお茶
写真=iStock.com/masa44
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単発で参加できる「係」の活動は多少、父親も増えているものの、継続的な参加を求められる「委員会」活動は、今も母親がほとんどです。ただし、単純に「父親のせい」ともいえません。PTAはあまりにも母親が多く、平日の日中の集まりに参加する父親は「ぼっち」になりがちです。

そこで、父親たちが参加しやすいよう「おやじの会」をつくった、という話もよく聞くのですが、これによって「PTA=母親」「おやじの会=父親」という棲み分けが固定化してしまった面もあります。ときどき「母親代表(ははだい)」や「母親委員」といったポストを設けているPTAもありますが、これも「おやじの会」と同様の問題があります。

「会長は父親(男性)」という前提のもと、ある種「女性活躍」のために設けられた役職でしょうが、むしろ「会長は父親」という縛りを強化することにもつながってしまっています。