国家公務員総合職、いわゆる「キャリア官僚」の合格倍率が7.8倍と過去最低となっている。ジャーナリストの池上彰さんは「安倍・菅内閣の国会軽視の姿勢が、東大生の官僚離れを招いた。このまま優秀な人材が離れていけば、官僚の劣化は避けられない」という――。

※本稿は、池上彰『これが日本の正体! 池上彰への42の質問』(大和書房)の一部を再編集したものです。

虚偽答弁をした国会議員が再選する日本

衆議院の調査局によると、「桜を見る会」の前夜祭をめぐる問題で、2019年から2020年にかけて、当時の安倍首相は118回の虚偽答弁をしたことが明らかになっています。

衆院議院運営委員会で挙手する安倍晋三元首相(左)=2020年12月25日、国会内
写真=時事通信フォト
衆院議院運営委員会で挙手する安倍晋三元首相(左)=2020年12月25日、国会内

国会の証人喚問の場において、虚偽の陳述をした場合には、偽証罪が適用されます。ところが、それ以外では、虚偽の答弁が明らかになっても、ペナルティーはありません。しかし、だからといって議員にせよ官僚にせよ、虚偽の答弁が許されるはずはありません。

国会は国の最高機関であり、その場での虚偽の答弁は、民主主義の根幹をゆるがす大きな問題です。にもかかわらず疑わしい答弁は後を絶たず、その大半は、「結果として事実に反するものがあった」「誤解を与えたとしたら遺憾」という形で、いかにも意図的ではないという印象を与えて逃れようとします。

しかしどうひいき目に見ても、安倍氏の118回の虚偽答弁が意図的でないとは思えません。「桜を見る会」の件にしても、安倍氏が事実と異なる発言だったと認めたのは、秘書が政治資金規正法違反の罪で略式起訴されてからでしたから。

現状では、国会で議員の虚偽の答弁があったとしても、何らかの処罰があるわけでもなく、ましてそういうペナルティーを自ら設けるとは考えにくいですよね。ならば、嘘が分かったら、次の選挙で必ず負けるような構造になれば、虚偽答弁は減っていくのではないでしょうか。

虚偽の答弁をしても、結局は議員としての身は安泰だし、政権も維持できるわけです。それを変えるチャンスが選挙のはずです。こう言っては身も蓋もありませんが、やはりこれは国民の責任です。