調査チームは、英科学誌ネイチャーに掲載された2020年当時の論文のなかで、「我々が知る限り、これはマヤ一帯で発見されたうち最古の儀礼用の建造物であり、この地域のプレヒスパニック期(スペインが征服する以前の時代)を通じて最大のものです」と述べている。
英ガーディアン紙は「マヤ文明最古かつ最大の構造物が発見された」と報じ、「総体積では古代エジプトのギザの大ピラミッドを凌ぐ」と伝えている。
LIDARが変える考古学調査
猪俣教授は「水平方向にとても大きいため、(遺跡の)上を歩いても、ただの自然の風景のように思えるでしょう。しかしLIDARによって、その姿をはっきりと確認できるのです」と、その有効性を語っている。LIDARは自動運転車が周囲を認識する手法として利用されているが、考古学においても大きな前進をもたらしている。
米CNNは昨年、台地の発見を報じた記事のなかで、LIDARなどのリモート・センシング技術は「革新的存在」だと伝えている。
記事は米ノースカロライナ大学チャペルヒル校のパトリシア・マカナニー教授(考古学)によるコメントを引用し、「一回の飛行で得られるLIDAR画像は、数十年にわたる従来の考古学調査を超える情報をもたらすことがあります」としている。鉈で森を切り拓きながら進む従来のフィールドワークとは、効率の点で大きな差を生んでいる。
ただし、より詳細な調査には、現地での発掘作業が欠かせない。今後の考古学調査のあり方としては、マヤ文明誕生の地といわれる広大なマヤ低地のなかから遺跡が集中する地点をLIDARで絞り込み、そのうえで集中的に現地調査を行うスタイルが主流となるかもしれない。
アリゾナ大学が発表したリリースのなかで猪俣教授は、「この現場の発掘を続け、(当時の社会階級など)こうした疑問への答えを見出すのには、さらに長い時間を要することでしょう」と述べ、研究はまだ始まったばかりだとの認識を語った。