夢に出てくるイメージにはどんな意味があるのか。東洋大学社会学部社会心理学科教授の松田英子さんは「国や文化で悪夢のパターンに違いはない。また、ネガティブな夢のほうが記憶に残りやすい」と指摘する――。

※本稿は、松田英子『夢を読み解く心理学』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を再編集したものです。

どこの国の人にも典型的な夢のパターンがある

【先生(東洋大学社会学部社会心理学科教授)】海外にはアダム・シュナイダーとジョージ・ウィリアム・ドムホフらによる「ドリームバンク」(注1、2)という、いろんな国や集団、個々人の夢の報告内容をデータとして収集・統計的に分析できるサイトもあるのよ。

【A(編集者・女性)】すごい! さまざまな夢の報告をデータとして収集するなんて。国や文化によって、典型的な夢のパターンって変わってくるんですか?

【先生】わかりやすいところだと、アジア圏はヘビがよくでてくるし、欧米ではクモが多い印象があるわね。死んだはずの人が夢にでてくるのは、どこの国でも共通して上位。ドイツ人の夢ランキング(図表1参照)では7位くらいにでてくるかな。

ドイツの夢ランキング
出典=松田英子『夢を読み解く心理学』(注3)

【C(大学院生)】地域によって恐怖対象が変わるんですね。でもたとえば、人種としてはアジア人なんだけど、幼少期から西洋で育てば、恐怖の対象はクモになるんですかね?

【先生】わからないけど、なぜか日本ではクモへの恐怖が少ないんだよね。むしろ、ヘビやイヌへの怖れのほうが多い。先のドイツの調査では、クモが25位でヘビは43位。とはいえ、そこまで国や文化ごとの目立った夢の特性の差異はないのよね……。

【C】裏返していうと、国籍に関係なく、人間の夢のパターン自体が普遍性が高い?