これからの生活に欠かせない半導体の素材「シリコンウエハー」

近年、半導体デバイスの高速化、高集積化、小型化などの付加価値を高める技術の重要性が高まっており、なかでも信越化学工業は、特に半導体の「基板」となる素材のシリコンウエハーのメーカーとして国内外に知られ、益々その活躍の場が広がっている。

同社のシリコンウエハーがどのようなものかというと、昔、火打ち石に使われていた珪石にはケイ素が多く含まれているが、まずこれを取り出して金属ケイ素を作り、次に金属ケイ素からほぼ100%に近い高純度のケイ素の塊である多結晶シリコンが作られるという。

さらにこの多結晶シリコンを原料に、結晶成長技術を駆使して一定の原子配列を持った直径約30センチ、長さ約1メートルというシリコンの結晶(単結晶)を作り、この単結晶の塊を薄くスライスしてシリコンウエハーが作られているという。

シリコンウエハーはスマートフォン、パソコン、デジタル家電、自動車など、我々の身の回りで数多く使われており、今後もモバイル機器、自動運転車、AI、IoT、5G等々の進化に伴って欠かせない材料になるのは間違いない。

電子回路基板の接写
写真=iStock.com/coffeekai
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スマートフォン生産のカギを握っているMLCC

次に村田製作所のMLCCはどのようなものか。ひと言でいうと、信越化学工業のシリコンウエハーと同様にスマートフォン、パソコン、デジタル家電、自動車などに欠かせない部品になっているということだ。

たとえばスマートフォンには、1台当たり約800〜1000個のMLCCが使われており、端末に搭載される機能が増えれば、それにほぼ比例して搭載数も増大する。

したがって、高性能・多機能のスマートフォンの生産は、MLCCの小型化に掛かっていた。

そうしたなか、同社は世界最小のサイズ(0.25×0.125ミリメートル)でありながら、世界最大の静電容量を実現したMLCCを開発し、しかも同一容量の同社の従来品サイズ(0.4×0.2ミリメートル)に比べて、開発品のサイズ(0.25×0.125ミリメートル)は実装面積で2分の1、体積で5分の1の小型化に成功している。

MLCCは、電気を蓄えたり放出したりする電子部品のことで、電子機器の電圧を安定させたり、ノイズを取り除いたりするのに不可欠な部品になっている。