身内からの被害は対応がもっと難しい

他方で、乗る時間帯を毎日変える、乗る場所も毎日変えるなどの自衛も心掛けた方がよいでしょう。もちろん、痴漢は被害者に落ち度はありません。痴漢する側のみが悪いです。しかしそうはいっても被害に遭わないようにすることも大事です。空き巣に遭わないために自宅の戸締りに気をつけるのと同じことです。

身内からの被害は、被害に遭った子の年齢、被害に気付いた人と加害者との関係などに大きく影響されるため、対応がさらに難しいでしょう。

例えば加害者が息子で被害者が娘の場合、親としては信じたくない心理が働き、「お兄ちゃんがそんなことするはずない」等と娘の言い分を否定したくなることもあるでしょう。

娘が被害に遭ったことに気づいたら、相談電話である「#8103」やワンストップ支援センターなどに相談しましょう。専門家のアドバイスに従い、被害者の心身のケア、事件化するための証拠の採取や警察への届出等を検討しましょう。

親が絶対にしてはいけないこと

性被害を子どもから打ち明けられたら、親は何と声を掛けたらいいのでしょうか。『おとめ六法』(KADOKAWA)でも説明していますが、どのような場合であっても、絶対に怒らないことが第一に重要です。

子どもは勇気を出して打ち明けています。「そんな短いスカートをはいているから」など、子どもに落ち度があるような言い方はやめましょう。被害から時間が経過していても、「どうしていままで黙っていたの?」と問い詰めないでください。

また、「気のせいではないのか」「忘れたほうがいい」などと子どもが打ち明けた内容を否定する発言もやめてください。まずは子どもの言い分に耳を傾けてください。

そして話を聞いた後は、「よく話してくれたね」とねぎらい、「あなたはなにも悪くないのだから、安心してね」と言ってあげてください。

そして、なにに困っているのか、体調などを尋ね、早めに一緒に警察やワンストップ支援センターに相談に行きましょう。子どもが同意すれば、学校のスクールカウンセラーに相談してみるのもよいでしょう。