「魔の3回生」たちが岸田氏に責任を押しつけか

もっとも、岸田氏にも同情すべき点はある。各党、各社の調査で苦戦している候補の多くは、普段選挙活動が熱心でない「魔の三回生」や、後援会組織が弱体化している高齢議員が多い。

日々、選挙区対応に余念がない議員や、党の実力者は、野党側が統一候補の擁立に成功しても、揺るぎない優位を保っている。つまり、自民党の選挙情勢が振るわないのは、日々の政治活動の手をぬいてきた議員たちの自業自得ともいえる。

ただし、これまで努力を怠ってきた議員たちは、過去3回、安倍晋三総裁の下では野党候補を蹴散らして楽々当選してきた。それが「自分の実力」だと思っているから、今、苦戦している責任を岸田氏に押しつけているのだ。

結果しだいで「自民政局」の幕開けか

このところ衆院選は序盤で大きな流れが決まり、その後は、優位に立った政党がさらに支持を伸ばし圧勝するというパターンが続いてきた。2005年の「郵政選挙」では小泉自民党が圧勝。09年の衆院選は民主党が勝ち、政権を奪取した。12年以降の3衆院選は、安倍自民党が、野党勢力の分裂にも助けられ圧倒的な勝利を進めた。

しかし今回は、自民党が単独過半数を取るかどうか微妙な情勢で、先の見通せない戦いだ。このような展開は2003年、小泉氏と菅直人民主党代表の間で争った選挙以来、18年ぶりだ。

自民党が地力を見せて公示前勢力に近い議席を確保するか。それとも野党が静岡補選をきっかけにさらに浮上して自民党を過半数割れに追い込むか。その結果は、選挙後、自民党内での岸田氏を取り巻く状況を左右する。もし「岸田首相では来年の参院選は戦えない」となれば、早くも自民党内政局が勃発するかもしれない。

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