コスモス薬品は売上高7200億円と前期比6%増

コンビニの購買層を取り込んで伸長するドラッグストア業界も安売りに動き始めている。

利益率の高い一般用医薬品(大衆薬)や化粧品などで稼いだ利益を原資にして、食品や日用品の安売りにつなげるビジネスモデルがドラッグストア伸長の源泉だ。医薬品の販売権限をもつ薬剤師と登録販売者を抱える優位性にも支えられ、コンビニやスーパーがまねしにくい独自の店舗形態を築いてきた。

世界中で8000店舗以上を展開するドイツの「リドル」。
写真=iStock.com/BalkansCat
世界中で8000店舗以上を展開するドイツの「リドル」。

なかでも売り上げの半分を食品が占めるコスモス薬品は地盤の九州から北上し、関西や北陸、北関東まで進出。東北や北海道まで視野に入れる。今や店舗は1110店を超え、21年5月期の売上高は前期比6%増の7200億円と拡大をつづけている。個々の商品の価格ではなく、さまざまな商品を「カゴ一杯にいれた合計金額でライバルをしのぐ」をキャッチフレーズに、地域の消費者の支持を取り付けている。

また、北陸出身のクスリのアオキHDは鮮魚、青果、肉類なども扱う。大手のツルハHDも一部店舗で精肉の販売を始めている。

小売業界の「安売り」合戦はさらに過熱へ

躍進するドラッグストア業界だが、安泰ではない。独壇場だった大衆薬の販売について定めた「2分の1ルール」が緩和されるからだ。登録販売者などの有資格者が取り扱うことができる大衆薬の販売の際には、有資格者が営業時間の2分の1以上常駐し、薬の販売管理や保管をしなければならないが、厚生労働省はこの「2分の1ルール」を規制緩和する方向だ。

実現すれば、資格のないパートやアルバイトが代替する場面が増え、コンビニなどがドラッグストアの稼ぎ頭である大衆薬を多く扱うようになってくる。ドラッグストア業界はこの「2分の1ルール」の規制緩和に備え、今後、大手による買収合戦が進み、系列化すると指摘されている。

ドラッグストア各社の巨大化で小売業界の「安売り」合戦は過熱するだろう。いったいどこが勝ち残るのだろうか。

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