日経新聞を読む意味を見出せない
元毎日新聞社記者の河内孝さんは、日本の新聞は、ビジネスモデルを変えなければ生き残れないと言っています。
発行部数も広告収入も減っていることはもちろん問題なのだけれど、一番の危機は、インターネットの時代を生き残るビジネスモデルが見つかっていないこと、見つけようともしないことであると河内さんは指摘しています。
インターネットで誰もがつながっている時代になって、SNSなどでいろいろ情報を共有し合っているときに、メディアが「第四権力」などと威張って、上から情報を流す時代は終わったと。
僕自身、大学時代に、日本経済新聞を取って毎日隅々まで読むということをやっていました。広告まで含めて全部目を通すと、どれだけ集中しても1時間程度かかります。かかる時間と得られるものを考えたときに、続ける意味を見出せずに1カ月でやめてしまいました。
ましてや、情報の速度が飛躍的に上がった今の時代、新聞に書いてあることはすでに時代遅れもいいところです。日経新聞を読みこなせば賢くなるとか、ビジネスに役立つ情報をキャッチできているとか考えている時点で、かなりまずいでしょう。
アメリカでは「ハイパーローカル」に活路
日本には現在128の新聞がありますが、アメリカははるかに多く1400くらいです。
その分、それぞれの発行部数は10万部から20万部と小さく、記者の年収は日本よりずっと安く300万円から400万円くらいだそうです。ちなみに、日本の大手新聞記者の給料は、彼らの3倍から4倍です。
また、ハフィントン・ポストを買収したアメリカの大手IT企業AOLが、ごく限られた地域について詳しく報じる「Patch」というサイトを運営しており、今後は、こうしたハイパーローカルに活路を見出そうとしているようです。
ハフィントン・ポストの経営者アリアナ・ハフィントンさんは、アメリカ議会の公聴人に呼ばれた際に、大変に象徴的なことを述べたそうです。
「多様なニュースが民主主義のために絶対に必要だというのはわかるけれど、それが紙の媒体を通さねばならないと、あなたたちは思うのですか」と。
ニューヨーク市立大学のウォルターマン氏も、こう言っています。
「我々が考えなければならないのは、ニュースを救うことであってニュースペーパーを救うことではない」
このように、アメリカでは、ハイパーローカルやニッチなコンテンツなど、新しいジャーナリズムの動きが出ている一方、日本の新聞はいまだに迷走しているのです。