親や先生が子どもの能力を重視していると、子どもにもそういう考え方がうつります。

「何歳でこれができたらえらい」「これができなかったら不十分」という考え方が当たり前になり、「あの子はできる」「あの子はできない」とう情報に敏感になり、子どもは「自分もがんばらなければ」とあせります。そして自分よりもできない子を見たら「あの子は自分より下だ」と感じるようになります。

能力競争をあおられる環境にいると、余裕がなくなって、つねに上下関係を意識するようになっていくことがあるのです。その結果として、自分よりも能力が低い相手をバカにしてしまう場合もあります。

子どもたちを比較しないで、個別にほめていく

そのような事態を防ぐためには、大人が日頃から能力主義的な考え方を見せないことが大切です。子どもをほかの子と比べない。きょうだいと比べない。世の中の平均と比べない。その子自身の成長を見る。そういう姿勢を意識しましょう。

本田秀夫『子どもの発達障害』(SBクリエイティブ)
本田秀夫『子どもの発達障害』(SBクリエイティブ)

お兄さんをサポートするのはもちろん重要ですが、妹さんは妹さんなりにがんばっているということも個別に見て、ほめていきたいところです。お兄さんに比べれば、妹さんは苦もなくやっているように見えるかもしれませんが、妹さんにも「ここはがんばった」「ほめてほしい」というポイントがあります。そういうところを、妹さんが達成感をもっているときにほめれば、妹さんの不満は解消していきます。

自分に見合ったほめられ方をしている子は、自分に自信をもち、ほかの子に優しくなります。自信があって余裕があれば、子どもはほかの子をバカにしません。その子はその子なりによくやっていて、満足していて、ほかの子と競争する必要がないからです。そういう姿をイメージしながら、子どもを一人ひとり、個別にほめていきましょう。

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