日本LPガス協会の試算によれば、もし、供給ユニットに搭載するLPガスタンクが500キログラム型であった場合には3.1日分、985キログラム型であった場合には7.1日分、100人用の避難所・支援所へ光熱エネルギーを供給することができるという(LPガスのタンク内での残存率を災害発生時50%とし、それが15%になるまでの日数を推計)。

この災害対応LPガスバルク供給ユニットは、東日本大震災の被災地でも、大活躍した。

現在、経済産業省資源エネルギー庁石油流通課は、「東日本大震災を踏まえた今後のLPガス安定供給の在り方に関する調査」を進めているが、この調査のための会合には、オブザーバーとして、東京都の担当者も参加している。

現在、都内ではLPガスがほとんど使われていないが、それでも東京都がこの調査に興味を示すのは、災害時の初期対応におけるLPガスの役割に注目しているからである。

すでに、天然ガスの導管が敷設されLPガスを使用していない地域でも、災害対応LPガスバルク供給ユニットを普及させることは、災害直後、被災者の生命を救ううえで、大きな意味をもつといえる。

ここまでLPガスの「災害に強いエネルギー」としての側面に目を向けてきたが、最近では「分散型エネルギー源の先駆け」というLPガスのもう一つの側面にも光が当てられ始めている。ここからは、その点を取り上げよう。

以前、「2030年、それでも原発依存度は10%しか減らない」で詳しく述べたように、東京電力・福島第一原子力発電所の事故を受けて、日本では、電源構成における原発依存度が徐々に低下し、代わって再生可能エネルギー利用発電のウエートが着実に拡大すると見込まれる。