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では1円も払わずに済むのかというと、それほど甘くはない。無断駐車で不当に得た利益があれば返還の義務があるし(民法703条)、不法行為でオーナー側に損失を与えれば損害を賠償する責任を負う(民法709条)。問題は、その金額だ。

「月極駐車場への無断駐車なら、勝手に駐車した人が得た不当利益は近隣の時間貸し駐車場の駐車代金が目安になります。数時間とめただけなら、せいぜい数千円にも満たないでしょう。一般的には、実際の駐車料金程度しか損害賠償は認められません。万単位の請求は困難です。もっとも、無断駐車が一定時間継続した場合に、駐車場の所有者が駐車車両を撤去する必要も出てくるでしょう。撤去費用は所有者から損害賠償として請求される可能性があります」(長谷川弁護士)

看板の不当な文言通りに支払う必要はない。ただ、見つからなければタダ、見つかっても本来払うべき代金を払うだけで済むなら、無断駐車のやり得になるのではないだろうか。

「アメリカでは懲罰的な損害賠償額が認められています。しかし日本の司法では、実質的に損害を受けた分しか賠償が認められない。金額に表れない精神的ダメージを慰謝料として請求することもできますが、額は微々たるもの。たしかにこれではやり得を助長する面があるのかもしれません」(長谷川弁護士)

やり得を防ぎにくい司法制度のもとでは、駐車場オーナーが威嚇的に罰金を設定する気持ちも理解できる。言うまでもないが、最善は無断駐車しないことである。損得にかかわらず、ドライバーには高いモラルを求めたいところだ。

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