私にも息子がいるが、大学は出ても定職に就かず三十近くになってもふらふら夢のような夢を追っている子だ。

なんというか、わが親とはちょっと違う感じで、自分の中にストックされていた変なものがガチャガチャッと合わさってポンと出てきたのがこれか、意外といい仕上がりじゃないか、なんておもしろがっている。

そうだ、私がガチャをするのは、思いがけないものとの出会いが楽しいからだ。

草原で遊ぶ母親と娘
写真=iStock.com/Hakase_
※写真はイメージです

日々を楽しくするために

欲しいものが必ず出てくる通常の自販機と違い、何が出てくるかわからないそれの醍醐味って、はずれと思ったものが案外いいものだった、となることじゃないのか。

福袋も、欲しかったものが入っていたときの喜びはいうまでもないが、意外とそれまで興味なかったものが良くて、気がつけば長く愛用するようになったりもする。負け惜しみに近いかもしれないが、酸っぱい葡萄で生きるよりは日々を楽しくしてくれる。

ちなみにうちの息子にとって私は、子どもガチャにはずれた、といわないだけでもう、当たりらしい。私も、息子が親ガチャにはずれたといわないだけで、当たりといえる。

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