余命1カ月の女性要介護者が人生の最期に毛染めとパーマをかけたワケ

「事業者の私が言うのもなんですが、介護を受けている方のことを思うなら、訪問理美容を利用する価値は十分あると思います」と土屋さんは言います。

「訪問入浴の前にカットの予約を入れる方が多いのですが、“髪を切った後にお風呂に入ると本当にスッキリする。今日は良い日だった”とみなさん笑顔でおっしゃるんです。笑顔が見られるのはご家族にとってもうれしいことですしね」

訪問カットを行う土屋さん
写真提供=土屋惠子さん
訪問カットを行う土屋さん

病院に行く前日に訪問美容の予約を入れる女性も多いそうです。行き先が病院であろうと外出し他人の目に触れることになる。その時、自分は美しくありたいという思いからです。

「要介護になっても、女性がこういう意識を失ったらいけないと思うんです。この意識が持てれば前向きになれるし、元気も取り戻せることになります」

さらに土屋さんは自身が経験したあるエピソードを語ってくれました。

「ある女性(80代)からカラーリングとパーマの依頼がありました。セットが終わった後はお化粧もされて、娘さんや息子さんたちと写真を撮られたのです。その後しばらくして、その写真が送られてきました。添えられた手紙には、こう書かれていました。

『実は、訪問カットをお願いする少し前、母は医師から余命1カ月と言われたのです。母はそれを受け入れ、覚悟を決めたうえで、最後に家族で写真を撮ろうと言い出しました。それで、せっかくなら、きれいにして撮りたいよね、という話になって訪問美容をお願いしたのです。母は医師の宣告通り、先日亡くなりましたが、おかげで美しい姿を残せました。ありがとうございます』と。

私は、そんな事情があったことは知らなかったので驚きましたが、家族に囲まれて微笑む女性の写真を改めて見て感動し、涙があふれました。その女性にとっては髪をセットし美しくなった姿を残せた。ご家族にとっても、きれいなお母さんと一緒に写真を撮ったことは、いつまでも良い思い出として残る。そのお役に立てたのだと。訪問理美容の仕事を続けてきて良かったと思いました」

これは特別なケースだと思いますが、たとえ介護を受けるようになっても、髪を整え、美しく装うことは人にとって欠かせないことなのです。

訪問理美容は要介護者本人の気持ちを上げることはもちろん、介護をする家族にとっても喜びにつながるサービスといえるでしょう。親孝行のひとつとして利用を考えてみるのも、いいかもしれません。

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