子供に「説得の仕方」を教えることができる
ここでもまた、同学年の友だちやテレビで見たヨソの子などと比べたりせず、その子の過去と現在でどのくらい成長しているか、垂直比較をしてあげてください。
子どもの発言というのは、その子が今もっている力量そのもの。それを親が「もう○歳なんだから、そんなことばかり言ってちゃダメだよ」なんて注意しても、できないものはできません。でも、垂直比較で見れば子どもは必ず成長しています。
小さいころから子どもの話を喜んで聞いてあげることを続けていくと、やがて自分の主張がちゃんとできるようになります。「親にこういうふうに説得するとOKしてくれる」などと子どもなりに戦略を練りますし、それが頭のよさにもつながります。
もちろん失敗もOKですし、うまく説明できなくてもOK。家庭とは、トライ&エラーが許される場所であるべきなのです。
東大生184人のほとんどが「親が話を聞いてくれた」と回答
大事なことなので何度もいいますが、子どもに話をさせるには喜んで聞くこと、子どもに気持ちよく話をさせるには親は聞き役に徹することを意識しましょう。
これは子どもが2、3歳のうちからすべきですが、やることは小学生でも思春期になっても同じです。子どもが成長する過程では、話をさせることで脳も発達します。
以前、『プレジデントファミリー』という雑誌で、「東大生184人『頭のいい子』の育て方」という特集があり、私が監修をしました。そこで東大生へのアンケートをとり、「親は自分の話を聞いてくれましたか?」という質問を投げたところ、YESと答えた(「当てはまる」「ほとんど当てはまる」の合計)のは、なんと90.7%にも及びました。
親が子どもの話をしっかり聞いてくれるから精神が安定し、安心し、自信がつき、もっと上手に話そうと頭がフル回転するのだということが、ここでも明らかになったのです。
大人が話をさえぎって結論を言ってしまったり、答えを求めたり質問責めにしてしまうのはやめましょう。どうしても意見を言いたければ、子どもの話を最後まで聞いたうえで、「そうか、よくわかったよ」とまず子どもの話を受け入れます。
そのうえで、次に一つだけ「こういう方法もあると思うよ」と伝えましょう。この言い方の上手さ、下手さが子どもの自己肯定感の成長に大きな影響を与えます。
子どもは、とにかく自分の話は受け入れてもらえたと感じます。賛同されたかどうかは別としても、受け入れられた、聞いてもらえたという実感が重要です。
受け入れられたうえで親が意見を言ったとしても、子どもは「別の意見もあるんだな」と思うだけで、否定されたとは感じません。そこで「自分が話すと、親は必ず意見を押しつけてくる」と感じたら、もうしばらくは話そうとはしないでしょう。子どもは親が思う以上に賢いのです。