河野氏は今の政治を変えることができるのか
河野太郎ワクチン担当相が長老支配や派閥政治の打破に期待する世論の追い風を受けて自民党総裁選の主役に躍り出た。最大派閥を率いるキングメーカーの安倍晋三前首相は世代交代を嫌って河野政権阻止に躍起だ。このまま河野氏が総裁レースを制するのか、それとも岸田文雄前政調会長と高市早苗前総務相の2・3位連合で逆転を目論む安倍氏がさいごに笑うのか。自民党内の権力闘争にマスコミ報道は集中している。
だが、その前に問うておきたいことがある。河野氏は本気で「安倍支配からの脱却」を目指しているのか。それをやり抜く実行力があるのか。
河野氏はテレビ番組で「自分で言うのもなんですけど……言っちゃいますけど、やはり河野太郎でなかったら、ワクチンはここまでこなかっただろうと正直思っています」と自画自賛した。しかし、河野氏はワクチン確保がなぜ諸外国より遅れたのかを明確に説明したことがない。ワクチンが届かず各自治体で予約停止が相次いだ時も納得のいく説明はなかった。
本人は実行力や説明力をアピールしているが、実はイメージ先行なのではないか。自らに批判的なツイッターアカウントを次々にブロックしたのは当然の権利と開き直るように、首相になれば強権を振り回すのではないか。単なる権力志向のポピュリストなのではないか――彼には空疎なリーダー像がどこかで付きまとう。
河野氏の真贋を見極めるには、今から20年前の総裁選で「自民党をぶっ壊す」と叫んで大逆転勝利を収め、長期政権を実現させた小泉純一郎氏(小泉進次郎環境相の父)との対比が有効である。小泉構造改革への賛否は別として、小泉氏がイメージ先行ではなく実際に自民党を大きく変革したのは歴史的事実だ。
河野氏が総裁選を勝ち抜き、安倍支配に終止符を打って自民党を変えるために足りないものを考察してみよう。