「つまらないかもしれないもの」をやる豊かさ

——利用者からすれば、「人気のものを知りたい」という声は強いと思います。でも、あくまで運営側が良いものをおすすめする形にしたいということですよね。

【糸井】どんな授業があってもいいと思っています。僕らの考える良いものというのにとらわれなくていい。これ、つまんないじゃないというのも混じっていても、それでいいと思っているんですよね。

——ほぼ日の學校」は動画ですから、お金も人もかかっていますよね。そこで「つまらないかもしれないもの」をやるのは、懐が深いですね。

【糸井】そこは、早くから考えないほうがいいかなと思っています。だれかが「ここが足りない」「これはダメだ」とチェックするより、つまらないものがあったとしても、「あれは良かったね」と言えるものがたくさん出てきたほうが豊かになると思っているんですよね。

ほぼ日社長の糸井重里さん
撮影=西田香織

ビジネスとして成り立たせないと続けていけない

——「ほぼ日の學校」のビジネスモデルに関心があります。たとえば先生方にはどれぐらいの謝礼が支払われるのでしょうか。

【糸井】今の今は大学で講師を呼んだのと同じぐらいのギャランティーでしょうか。だからそれに期待して来る方がいたとしたら、「えっ、もっと稼げるんじゃないの」ってなるかもしれないですが、今の講師の方々は、そうではない理由で引き受けてくださっています。

「あの人の話を毎週聞きたい」ということもあるかもしれません。でも、うちの授業にするためには、人手まで含めるとそれなりのお金がかかります。でも「週5回やれる」というときが来ると思うんです。そうすればもっと無責任な授業もできるし、「今日は雑談だ」ということもやってもいい。

いずれにしても、これからどう回っていくのかによって変わると思います。ビジネスとして成り立たせないと、大きくすることも続けていくこともできないので。