大企業の会議にはなぜ緊張感がないか

会議のあり方は会社の規模によっても変わります。100人までは社長1人ですべてを管理することができると思いますが、100人を超えると権限委譲しないと部署がうまく機能しません。部門間を調整する会議も必要です。出前館時代、各部門の会議ではトップである私が出席するときも、部門長たちに自覚を持たせるため全員に発言させることはもちろん、現場での仕切りや議題設定など、仕切りも部門長に任せるようにしていました。

部門長たちには伝えていたことですが、会議とは自分の仕事を確認する場でもあります。自分の仕事の意味を自分の言葉で説明できなければ、ビジネスパーソンとして仕事を行っている意味がなくなります。会議は自分の仕事の意味を報告する場と考え、どう説明するか常にシミュレーションをしておくことが大事でしょう。

スタートアップから大企業まで経験した私の目から見ると、大企業の会議には無駄があります。スタートアップの場合は、1人として無駄な人間を雇えず全員に成長してもらわないといけないので、かなり厳しいことを会議の場でも言っていました。実際に「今のままでは戦力にならないのでここまでやってほしい」と詰めるシーンもありました。

大企業にはその緊張感がありません。そして忖度も多い。それこそ会議で話し合って改善すべき事項に誰もが気が付いているのに現状維持のために誰もが敢えて触れていないイシューがある。そういうときに「気が付かないフリをするのはやめませんか」とはっきり言うことも大切だと思っています。それを放置していると会社は現状維持ばかりを選ぶようになり、少しずつ内側から腐っていきます。

会議というと国会のように「1人1票」を連想しがちですが、人によって1票の重みは違う。経営者としての責任を負わない一般の従業員に、同じ重みを担わせるのはおかしいでしょう。ですからリーダーには覚悟が必要なのです。合議制で決めようなどと逃げるのではなく、修正するための意見を取り入れつつも、あらかじめ用意していた結論に向けて、いかに合意を形成するかに心を砕く。その覚悟と集中力が、結局は会議をコンパクトで実のあるものにするのです。

会議をコントロールするための時短6カ条
(文=熊野雅恵 撮影=大沢尚芳)
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