そうなんですよね。特に初めての子育てでは、何をどこまで許していいのか、その兼ね合いがわからず、周囲のお母さんたちの考えに同調してしまいがちです。でも、何事も最初から禁止をしていたら、子どもはその扱いや加減を学ぶこともできません。
本当に危ないときには止める必要はありますが、子どもは、危ないということも含めて、経験しながら学んでいくのです。
「遊びの中には想像力、集中力、すべてがある」
遊びの大切さは、専門家の方々も指摘しています。
たとえば、日本を代表する教育学者である東京大学の汐見稔幸名誉教授は、著書(『汐見先生の素敵な子育て「子どもの身体力の基本は遊びです」』旬報社)の中で「遊びは、たくらむ能力を訓練する」といっています。
実際子どもは、何もない広場でも自在に遊びをつくり出しますよね。それこそ、自分のやりたい! という気持ちをベースに、そこにない新しいことを遊びを通して、つくり出しているのです。
30年以上にわたって子どもの教育に関わってきた花まる学習会代表の高濱正伸さんも、「子どもは、ゾーン(集中状態)に入って、心を奪われたときに一番伸びる。その体験総量がすべての土台になる。遊びの中には想像力、集中力、すべてがある」と言います。
夢中になって遊ぶ中で、さまざまな感情を身体で受け止めながら探究していく。それが、これから特に必要とされている、何かを創り出す力=たくらむ能力の基礎にもなるのです。
特に外遊びは、自分で工夫しながら遊びをつくり出す喜びを体験できる絶好の環境。身体能力だけでなく、子どもの中から出てくる意欲=やりたいという気持ちやたくらむ力を育てるためにも、できるだけ、自然の中で体を動かして遊ぶ機会をつくってあげたいものです。
打たれ強い子どもを育てるにはどうすればいいか
何か新しいことを探究したり、挑戦するときには、失敗が欠かせません。むしろ、失敗や問題に出合ったときに、どうそれを乗り越えようかと考えることで、思考が深掘されます。
探究することは、失敗すること、そしてそれを乗り越えることとセットといってしまってもいいかもしれません。
しかし、今、失敗を恐れて挑戦をしない子どもや、ちょっとしたことで気持ちが折れてしまう、打たれ弱いワカモノが増えているといわれています。
多少の困難や逆境があってもへこたれず前向きに物事に取り組める力、そして前向きに生きていける力は、どうやったら身に付くのでしょうか。