大人から見たらくだらないことだったり、ちょっと迷惑なことだったりしても、それが子どもの探究力を育てる大事な機会になっているのです。
私も小さい頃、折り紙を水に浸して色水をつくってジュースの空き瓶に詰めてお店屋さんごっこをして遊んでいたとき、赤と青を混ぜると紫色になる発見をしたことを鮮明に覚えています。遊びの中で発見をしていたのですね。
しかし、最近は、自由に遊んでいいよと言われても何をすればいいのかわからず、戸惑ってしまう子どもが増えているといいます。
その理由は、子どもが自由に遊べる場所がなくなっていることや、いろいろなものを与えられ過ぎて、子どもが工夫して遊ぶ余地がなくなっているから。
また、「危ないから」とか「服が汚れるのが嫌」などの理由から、親が「これで遊びなさい」などと細かく指示してしまい、子どもを自由に遊ばせない家庭が増えたためだともいわれています。また、習いごとで忙しく、自由に遊ぶ時間がないという子どもも多いでしょう。
しかし、子どもの成長にとって自由に遊ぶことはとっても大事な時間です。自由に遊ぶ中で、子どもは想像力を働かせて遊びを変化させていきます。それを親の都合や心配で妨げてしまったら、成長や探究の機会を奪ってしまうことにもなりかねません。
「危ないからやめなさい」が子どもの成長の機会を奪う
ただ、「子どもには自由に遊ばせてあげたい……」そう思っているはずなのに、日常生活の中で、無意識に子どもの行動を制限してしまうこともあります。皆さんにも、心当たりがあるのではないでしょうか。
たとえばこんな例があります。3人の子どもを持つあるお母さんは、長男が幼稚園の頃、「長い棒は危ない」と言い聞かせて、一切持たせなかったそうです。周りのお母さんがそう言っているのを聞いて、自分もそう言わないといけないと思っていたところもあったといいます。男の子は、棒を見つければ剣や鉄砲に見立てて振り回したがりますからね。
しかし、歳が離れて生まれた次男は、禁止しなくても、危なさはわかっていて、じょうずに棒を使って友達と遊んでいるのを見て、心配や周りの目を気にし過ぎて、子どもの楽しみを奪っていたのかもしれないと反省したと話してくれました。