「仕事が手につかない」が続くなら無理せず相談
(5)不調が続くときには相談を
メンタル不調で仕事や生活にひどく影響が出てしまってからでは、その修復に時間やエネルギーを要します。ここまでの4つのポイントを試しても、「眠れない」「仕事が手につかない」「よくミスをしてしまう」など心身の不調を感じたら無理をせず、産業医などの会社の窓口に相談をしましょう。会社に窓口がない場合には、厚生労働省が管理している「こころの耳」ポータルサイトにて電話・メールでの相談も可能です。
ここまでセルフケアについてお伝えしてきましたが、メンタル不調は本人だけでは気づくことができない場合もあります。さらに、ストレスを抱え込みやすい人は真面目で責任感が強いことが多く、自覚していても自分からは相談へつながりづらい傾向が見られます。
様子がおかしい「同僚・部下」への2つの質問
同僚や部下に関して、「最近元気がないような気がする」とか「何かいつもと違うな」というふうに感じるケースはよくあると思います。そんな時には、あなたから次の2つの質問をしてみてください。
(I)「よく眠れている?」
(II)「休みはどんなことをしていた?」
(I)の「よく眠れている?」については、メンタル不調者のうち90%が睡眠障害を持っていると言われます。質問の際には、睡眠時間が十分に取れているかに加え、日中の眠気がないか、朝起きた際に疲れが残っていないかなどについても聞けるとよいでしょう。
(II)の「休みはどんなことをしていた?」については、メンタルが弱っていると、以前好きだったことに対して興味を無くしてしまうことが多く見られます。「興味の喪失」はうつ病の診断基準の1つであり、これに「憂うつ」がプラスされると、うつ病と診断される確率はかなり高くなります。
上記の2つは日常会話の中で無理なく聞きやすい事柄でもあると思います。会話を通じて不調を察知した場合には、速やかに会社の窓口や医療機関への誘導を行うことを心がけてください。
メンタル不調は早く見つけることによって早期回復できるケースが多くあります。
セルフケアの方法を知り実践することはもちろん、周囲にも目を向け、メンタル不調かな? と思った相手にはぜひ声かけを行ってください。