韓国は下から3番目、なりすましメールに無防備

他方、「不適切」とする割合が比較的小さいのは、メキシコ、ハンガリー、チリといった途上国的な性格の強い国である。また、韓国は先進国にもかかわらず、47.1%と下から3位の小ささとなっており、なりすましメールへの無防備さを示している。

韓国においては、多少の危険を冒しても、ネット空間に落ちているチャンスをいち早くつかんだほうが、結局は有利だという「拙速をよしとする」考え方が根強いのだと思われる。ある意味では、これがネット先進国といわれる韓国のお国柄と判断できよう。

対照的なのは日本だ。あまりにガードが固いため、皆が参加すれば有効なデジタルシステムがなかなか実現しない結果、デジタル後進国の名に甘んじなければならないのだとも見られるのである。

日本のコロナ対策において、給付金の給付でのマイナンバーカードの活用や、コロナ感染リスクの個人間の相互監視のためのスマホのアプリの活用などが、いちいち頓挫するのも、行政の対応能力の低さだけでなく、デジタルネットワーク・システムの構築に必要なある意味で安直な協力が国民から得られないためといえるであろう。

韓国は「事実」と「意見」を取り違えていないか?

デジタルリテラシーで重要なのは、なりすましメールのような偽情報への対処にとどまらず、情報が「事実」なのか「意見」なのかの見極めである。次に、この点について見ていこう。

3年おきに行われるOECDのPISA調査の結果が公表されると、自国の子どもたちの学力が上がったか下がったかで国中が大騒ぎになるのは各国共通の現象である。2018年調査の日本の結果は、読解力、数学、科学の各科目で成績が低下し、特に読解力は2015年の世界8位から15位へと大きく順位を下げた。

わが国では、文科省も識者もマスコミも自分に都合よい理由で成績低下を説明しようとし、どの国で読解力の成績が向上し、どの国で下がったかを分析すればおのずから明らかになる読解力低下の本当の理由の追及には無頓着であることを、2020年1月の本連載記事で明らかにした。

日本の読解力の成績が下がったのは、実は、PISA調査の当局が、デジタル時代に重要となってきている成績評価の要素として、ネットなどで得られる情報の「信ぴょう性」を正しく疑えるかという点を新たに導入したからであった。

このことは、新たにどんなテスト問題が加えられたかをチェックすればわかるし、情報の信ぴょう性を疑うのが得意な英米の読解力の成績が大きく上昇したことからも明らかなのである。詳しくは昨年1月の記事を参照されたい。

情報の「信ぴょう性」を判断する場合に重要なのは、情報に含まれる「事実」と「意見」の判別である。この点に関する2018年PISA調査のテスト問題として、代表的だったのは、「ラパヌイ島設問」だった(図表2参照)。これは、アメリカの進化生物学者であるジャレド・ダイアモンドが2004年に著した『文明崩壊』の書評文(抜粋)の中に登場する「ラパヌイ島」に関する記述を読み、文中の「事実」と「意見」をきちんと分けて理解しているかを試すテスト。

パラヌイ島設問の内容
「事実」と「意見」を区別できない韓国、できる米英 (PISA調査による国際比較)

この設問に対する正答率(正しい回答の割合)を各国比較した図表3を見てみると、米国が69.0%と最も高く、英国が65.2%でこれに続いていた。逆に最も低かったのは韓国の25.6%である。

慰安婦問題、竹島問題をはじめ歴史問題をめぐる日韓問題がなかなか解決の方向に向かわないのは、韓国では「意見」を「事実」と同じぐらい重視し、両方を区別しない場合もあるからだということもこうした結果から見えてくる。

もっとも日本も少し前には尊王攘夷という「意見」が、清国のように攘夷を強行すれば国が亡びるという「事実」を圧倒し、かの渋沢栄一ですらそうだったことを思い出せば、決してひとごとではない。この点への反省が十分でなかったため、その後、太平洋戦争という無謀な歴史にも突き進んだ、と筆者は考えている