経済は停滞するが知恵を働かせれば
欧米は中国やインドが自分たちと同じライフスタイルを享受するのは迷惑だと考えていても不思議ではないと私は思う。むしろ、問題は日本だ。日本はそれを許容するのか。そのことに気づかず、無意識に欧米のお先棒を担いで、25%削減という意味のない数字を掲げたのだとすると許し難い愚行である。
そもそも地球が温暖化に向かっているのかどうかさえ怪しいものだが、仮に温暖化したとしてもそれほど恐れることはない。自然は中立だから、ある程度の範囲内ならばメリットもあるのだ。例えば、北海道でもっと米が作れるようになったり、ロシアやカナダも有利になる。
いずれにしても、データを基にここまでいったらまずいという臨界点をちゃんとシミュレーションしなければいけないし、それは日本自身が行うべきだ。国連や他国のデータを信用してはいけない。
温暖化ガス削減に何兆円ものコストを投入することは無意味だし、国民にハイブリッドカーやソーラーパネルの使用を強いるのは間違いだ。これらもレアメタルを使ったり、どれほど環境負荷がかかっているかわからない。いずれ石油と同じ問題を引き起こすだろう。
誤解してもらっては困るのだが、私は環境対策に反対しているのではない。「本気でやれ」と言っているのだ。もし、民主党政権が本気ならば、明日からでも毎年1%ずつ石油の輸入量を減らしてほしい。そうすれば確実に温暖化ガスは減るが、一方で経済は停滞する。その中で、日本は知恵を働かせ、エネルギーを極力消費せず、ほどほどに生きる社会をつくり上げる。
石油はいずれ尽きる。そのときに慌てても手遅れだ。日本は欧米の言説に惑わされず、自らの立ち位置を自覚して、もっと真剣に自国のエネルギー問題と安全保障を考えることに時間もお金もかけるべきだろう。
※すべて雑誌掲載当時