戦後の日本は、吉田茂首相以来の徹底した経済優先政策が功を奏して、廃墟からの奇跡的な経済復興を成し遂げ、世界から称賛を受けるのだが、国民の関心は、ひたすら「暮らし向き」「豊かさ」に集中する。軍備を放棄した戦後日本に、「国家」戦略があったのかどうかは疑わしい。「アメリカ」の軍事的な傘を都合よく解釈して、ひたすら「平和」と「豊かさ」を貪ってきたのである。戦後60数年、戦いの場で生命を失った軍人がひとりも出なかった、幸せで不思議な国、それが現在の日本なのである。

空白が続く現在の日本の政治が、世界から遠くにあるのは、この戦後日本のあり方そのものに起因しているに違いなくて、現在の政治的空白と空虚をつくりだしたのは、国民の意識そのものでもある。