「愛犬や愛猫と一緒に墓に入りたい」。コロナ禍でペットを飼う家庭が増えるとともに、こうしたニーズが高まっている。ジャーナリストで僧侶の鵜飼秀徳さんは「多くの寺院では、人間とペットの遺骨を一緒に埋葬することを認めていない。ペットとの“死後の同居“を禁止する明確な法律はないが、障壁となっているのは死後世界における人間と動物の“すみ分け”の問題だ」という――。
仲良しのブリティッシュショートヘアーとゴールデン・レトリバー
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ペットと一緒に極楽にいきたい人たちが増えている

コロナ禍の影響でペットの飼育熱が高まってきているが、同時にペットの死後をめぐって悩ましい問題が生じている。「ペットは飼い主と一緒に極楽にいけない」という仏教上の問題と、「人間と一緒に埋葬できない」という慣習の問題が生じ、飼い主が苦しむケースがでているのだ。

米国では、人間とペットとの合葬は法律で禁止されてきたが、飼い主の悲痛な声を受けて近年、ニューヨーク州などで合葬を解禁するなど、規制緩和の動きが出てきている。

コロナ禍でペット(犬または猫)を新規で飼育する人が増えている。一般社団法人ペットフード協会によれば、2019年と2020年を比較して新規飼育者の割合と飼育頭数は増加。増加率も例年と比べて大きいという。犬の場合は58万頭増(前年比114%)、猫の場合は67万頭増(同116%)となっている。

背景には在宅ワークの増加があると考えられる。在宅ワークで犬猫を世話する時間が確保できたことや、ペットショップに足を運ぶ機会が増えているという。また、社会不安の中で、ペットに対して癒やしを求めていることも増加の要因としてありそうだ。

一方で飼育を始めたはよいが、わずかの期間のみ飼育して放棄してしまうひどい事例も増えている。コロナ禍で経済的に飼育が厳しくなって手放してしまったり、近隣から苦情が出てしまったりするケースだという。

ペットはいつの時代も、世相を反映する。この20年ほどの人間社会の変化が、ペットとの関係性を大きく変えてきた。「少子高齢化」や「核家族」そして「コロナ禍」である。また、住環境の変化もペット飼育に大きな影響を与えている。

核家族化や住環境の変化との関係で言えば、犬、猫の飼育場所の多くが室内になってきている。都心ではマンションへの住み替えが進み、ペットは室内飼育がおおかただ。

全国犬猫飼育実態調査では犬の場合、室内飼育が2004(平成16)年では60.1%(2人以上世帯)だったのが、2020年調査では85%(室内屋外半々の割合を入れると91%)にまで増加している。

猫では、2004年の室内飼育の割合が72%、2020年では90%(室内屋外半々の割合を入れると98.5%)。現在、飼い犬や飼い猫の多くが、人間と同居しているのだ。

ちなみに私も1980年代に犬を屋外で飼育していた。恐らくその頃は、大多数が室外飼育であったと思われる。