日本でも、在留期間など一定の条件を満たした外国人には、グリーンカードのような永住権を認めるべきだ。このことは93年に『新・大前研一レポート』で提言したが、30年近くたっても制度化する動きは片鱗すら見えない。

ただ、民間では注目すべき動きがある。セブン&アイHDが、セブン‐イレブンで働く約3万7000の外国人店員に対して、生活やキャリアを支援すると21年7月に発表したことだ。これはアメリカ法人が、コンビニ併設型ガソリンスタンド「スピードウェイ」を買収したことに関係している。約3900の店舗があるから、日本からコンビニ経験者の外国人を斡旋すれば、お互いにメリットがある。“使い捨て”にしない優れたアイデアだ。

優秀な外国人を計画的に取り込む必要がある

人口減少と競争力低下が進む日本は、優秀な外国人を計画的に取り込む必要がある。シンガポールやアラブ首長国連邦(UAE)は、高給優遇で世界中から優秀な人材を集めている。

シリコンバレーの英雄伝を見ても、移民か移民の子ばかりだ。スティーブ・ジョブズの実父はアメリカに留学していたシリア人。イーロン・マスクは南アフリカ出身。グーグルのセルゲイ・ブリンはロシア出身。エヌビディアのジェン・スン・ファンは台湾出身。マイクロソフトとアルファベットの現会長はどちらもインド人だ。

このようにアメリカの起業家にはインド、イスラエル、台湾出身の経営者が多い。最近はハンガリーなど東欧も増えた。現在のユニコーン企業、デカコーン企業にアメリカ人だけの会社はまずない。彼らが活躍するのは、ハングリー精神があるからだ。そういう人材こそ、いまの日本には必要だ。

もちろん、日本人の偏見はすぐには消えない。しかし制度ができれば、前に進むことはできる。少子化で教員と教室は余っているのだから、時間をかけて日本語や日本社会の慣習を教えればいい。第1世代ではお互いに苦労しても、第2世代、第3世代で大きな成果が実を結ぶはずだ。ハンガリーとトルコの合作であるドイツのビオンテックのワクチンがそのことを象徴的に証明している。

(構成=伊田欣司 写真=ロイター/アフロ)
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