SURは「若者の社会参画の専門家」

各地の若者協議会と彼が代表を務めるSURとの関係性についてガブリエルさんはこう教えてくれた。それぞれの若者協議会はスウェーデンの全国各地の自治体、県を拠点に活動を展開している。そして若者協議会は「公式」の若者協議会と「非公式」の若者協議会の2種類があるという。「公式」な若者協議会とは、SURの会員団体として登録している若者協議会だ。「非公式」とは、とくに何にも所属することなく、地域で独自に活動をしている若者協議会だ。スウェーデンには全国に約130の若者協議会が存在するとされているが、そのうち半分近くがSURの会員である「公式」の若者協議会だ。自治体や行政と連携しているかどうかで「公式」「非公式」となるわけではない。ヨーテボリ市の若者協議会は市の全面的なバックアップがありながら、SURに加盟している「公式」な若者協議会である。

両角達平『若者からはじまる民主主義』(萌文社)
両角達平『若者からはじまる民主主義』(萌文社)

SURに加盟をして晴れて「公式」となった若者協議会は、会費納付の義務(初年度は無料)はあるものの、それと引き換えにさまざまな特典を得られる。全国各地にある同じように会員である若者協議会と交流ができたり、若者協議会の運営の研修会に無料で参加できたりする。地域の若者協議会をサポートする方法は多岐に渡る。全国に点在する300~400人ほどの若者が一堂に会する集会を年4回開催し、これに併せて交流会やリーダーシップの研修会を実行したり、資金調達のアドバイスをしたり、若者政策を担当する省庁や自治体関係者との橋渡しをしたりする。

また、加盟をすると「若者が社会に影響を与える方法」についてまとめた書籍が配布される。SURは活動の歴史が長いので、若者が社会に影響を与えるさまざまなノウハウが蓄積されている。そのため、ときどき政治家から「どうしたら若者から政治に関心を持ってもらえるのか?」と相談が入ることもあるという。そうした場合には、これらの書籍を送ったり、その地域の学校やユースセンターに足を運ぶなどして、若者の社会参画の専門家としてアドバイスを行なったりしている。

「おもしろいことをやりたい」「社会を変えたい」若者が集うSUR

SURは、若者協議会が地域で始まり、全国組織のSURに加盟してもらうまでの6つのステップをパンフレット「若者協議会を始めよう!」にこうまとめている。

1.おもしろいことをやってみたい若者や社会に何かしら変化をもたらしたいことがある若者を集めて、グループをつくろう。

2.グループで最初に取り組むことを決めよう。

3.自治体や区の委員会とやり取りをして、支援しくれる人や資金調達に関する情報を集めよう。

4.若者協議会の立ち上げの際や運営にサポートが必要なときはSURに相談しよう。

5.SURと連絡を取って面談をして、加盟のメリットを知ろう。

6.SURに加盟しよう。

このようにして、SURは全国組織に所属するメリットを提示して会員団体を増やしているのである。