真面目な人ほど陰謀論にハマりやすい

逆に、「自分が信じたい情報だけを一生懸命に集める」というようなことをしていると、陰謀論にハマる人たちみたいになってしまいます。

トランプさん支持者のなかにも、陰謀論にハマっている人たちがたくさんいました。日本でも、作家の百田尚樹さんやそのお友達の有本香さんなど、「米大統領選では本当はトランプが勝っていたんだ」というようなことを、選挙が終わったあともずっと言い続けている人たちがいました。

そういう人たちというのは、実はけっこう真面目なタイプが多いのです。

「世の中はこうあるべきだ」と考えて自分の理想を追求しようとする。結果、そのために都合のいい情報を一生懸命集めてしまったりするわけです。

真面目ではない人は、よくわからないものは「よくわからん」と言って、よくわからないままにしておきます。

でも、陰謀論にハマる人は「思った以上に世界は悪くなっている」「ディープ・ステートという金持ち連合の組織が世界を悪くしているから、それを退治すれば世界はよくなるんだ」というようなわかりやすいストーリーを組み立てて、「世界をよくするためにどうすればいいか?」と考え、情報を集める。

日本でも、悪いことはなんでもかんでも安倍晋三元首相のせいにする人たちがいました。「安倍さんさえ辞めさせることができたら、日本はよくなるのに……」というように、スケープゴート的に単一の原因を求めてしまう。

「いい子」ほど陥りやすい情報の罠

当たり前ですが「特定の悪い人が世界を悪くしている」などというのは、時代劇とかゲームの世界での考え方で、現実の社会はそんなシンプルな構造では成り立っていません。でも、複雑な物事を複雑なまま理解することができないので、なんでも簡略化してとらえようとしてしまう。

ひろゆき『無敵の独学術』(宝島社)
ひろゆき『無敵の独学術』(宝島社)

「いい子」であればあるほど、こういう陰謀論にダマされやすかったりします。

世の中をもっとよくしたいというモチベーションがあるので、一種の使命感のようなものに突き動かされて調べものに没頭し、自分が信じたいと思う理論にはまる「証拠」を必死になってかき集めてしまうのです。

2020年の米国大統領選では「バイデン陣営による不正投票があった」なんていう主張とともに、トランプ陣営が裁判を起こしたりもしましたが、証拠がなくてすべて却下されました。それでも「いや、本当は不正があったんだ」と信じ続けてしまう人たちがいます。

僕が最近上梓した『無敵の独学術』(宝島社)では、このような「アタマの悪い人の残念な特徴」のほか、「絶対にマネしたほうがおトクな、優秀な人の思考パターン」などを紹介しています。

そもそも、クズな人は「世の中をよくしよう」なんて思っていませんから、陰謀論にもハマりにくいです。

世の中は、単一の原因だけで悪くなるほど単純ではない。なので、複雑な物事は複雑なまま理解していくしかないのです。

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