重要なのは「礼拝の時刻」

現在では、インターネット上には、毎日の礼拝の時刻が掲載されている。地域によってその時刻は異なるので、それは地域別になっている。

たとえば、2020年1月20日の東京における礼拝の時刻は次のようになっていた。

ファジュル 午前5時17分
ズフル 午前11時52分
アスル 午後2時36分
マグリブ 午後4時56分
イシャー 午後6時26分

ただ、何かの都合で礼拝ができなかったときには、2回の礼拝をまとめてやることもある。

『ハディース』にある「礼拝の時刻」の章では、神のことばとして、「礼拝というものは、一定の時をもってすべての信者に課せられた義務である」とある(『ハディースⅠ イスラーム伝承集成』)。

礼拝については、時刻が重要なのだ。だからこそ、千鳥ヶ淵の花見の際に、礼拝するイスラム教徒の女性を見かけたわけである。

礼拝を行う「方角」が定められている

もう一つ、重要なのが方角である。

礼拝を行うとき、どちらに向いてそれを行うのか、方角が定められている。メッカのカーバ神殿の方を向いて行うわけで、その方角のことは「キブラ」と呼ばれる。

巡礼するイスラム教徒
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モスクには、東京ジャーミイももちろんそうだが、キブラを示す窪みが作られている。それは、「ミフラーブ」と呼ばれる。モスクに集まったイスラム教徒は、ミフラーブに向かって礼拝を行う。

イスラム教では、毎週金曜日が集団礼拝の日と定められている。金曜日には、5回の礼拝のうち1回はモスクで行うことが推奨されている。もちろん、そのときだけではなく、いつでもモスクに行って礼拝はできる。

イスラム教が誕生した最初の段階では、礼拝はエルサレムの方角に向かって行われていた。それは、イスラム教が大きな影響を受けたユダヤ教にならってのことである。

ところが、イスラム教が広がりを見せ、ユダヤ教と対立するようになると、ムハンマドは、礼拝の方角をエルサレムからメッカに変更した。それ以来、全世界のイスラム教徒はメッカを向いて礼拝を行うようになった。モスク以外のところで礼拝を行うときにも、メッカの方角を目処にして行う。