誰もが一目置く大学や大学院を卒業しているのに、仕事のできない人がいる。マーケティングコンサルタントの酒井光雄さんは「過去の栄光を引きずったまま、無自覚であることが最大の原因だ。彼らには共通する残念な思考法がある」という――。
遠くを見つめる、スーツを着た人
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使えない高学歴な人は、どんな組織でも見つかる

誰もが一目置く大学や大学院を卒業して企業に就職したのに、どういうわけだか仕事ができない人がたまにいます。読者のまわりにも、そういうタイプの人が見つかるはずです。

難関校に合格して卒業した人は、頭がよくて仕事ができると周囲から思われがちです。ところが予想された成果がでず、あるいはリーダーとして人心をつかめずにいると、社内での評価は逆に厳しく風当たりは強くなります。

なぜ仕事ができない高学歴社員が現れるのでしょうか。

学生時代に周囲から評価される基準は、学校の成績やスポーツ競技の力量でした。学生時代の評価基準なら、それで良かったでしょう。しかし有名校出身という評価が社会で通用するのは就職活動の段階までです。社会に出て企業で働くようになると、人心をつかむリーダーシップと共に仕事の成果・結果が問われてきます。

高学歴なのに仕事ができない残念な人が生まれるのは、思わぬところに原因が潜んでいます。それは輝かしい過去を引きずったまま、本人が意識せずに現在を生きているところです。

高学歴社員が引きずる「過去の栄光」という病

①高すぎる自己評価

学生時代に勉強ができ、偏差値の高い大学や海外への留学、MBAを取得した人の中には、勉強ができるという自負がおのずと高くなります。

「あれだけ狭き門を突破できたのだから、仕事でも恐れるものはない」
「主席を続けられたのだから、会社でも当然そうなるはずだ」

などと考えがちです。

勉強ができれば仕事もできると思い込みやすいのですが、皆がそうなるわけではありません。