②一つの正解を求める偏差値教育の呪縛

学校の教育とそれを測るテストでは、「答はひとつ」「選択肢から正解を選ぶ」という設問が多くなります。しかし実社会では答がいくつも存在し、考えられる方向性の中から最善策を導き出すことが要求されます。ビジネスで結果を出す方法はひとつではなく、その方法を導きだすプロセスも千差万別です。

学校の勉強で答えを導き出す時は、参考書を見ればそこに手順が解説されていました。しかし実社会で個別企業が取るべき戦略や戦術は、自分たちの手で独自に考え出すことが必要です。経営書やビジネス書があっても、自社に最適な答は残念ながら記されていません。ネット検索で、企業や組織が必要とする正解が見つからないのと同じです。

100%の完成度を無意識に求めがちになる

ちなみに学校の先生は、大部分の人にビジネス経験がなく、ビジネスを通じてお金を稼いだ実績もありません。そのため教師はビジネスでは必須といえる商才を備えていない人が大半で、商才について教えることはできません。

お金を稼ぐことに後ろ向きだったり後ろめたさを感じたりしている先生もいますから、社会で私たちが必要になるお金の知識は学校では習得できません。これは私たち全員に共通する教育の課題ともいえます。

③完璧主義とプライド

学校で勉強ができた人の中には、時に完璧主義の人が出現します。自分で出来ることは他人もできると思い込んでしまう人が好例です。他人への要求レベルが非常に高くなり、それが原因でメンタルストレスやパワハラの原因を起こしやすい素地が生まれます。

マークシートを鉛筆で塗りつぶす手元
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学生時代にテストで100点を取ってきたため、実社会でも100点満点の答えを出そうする習慣が続く人もいます。仕事はテストではないですから、100%の完成度よりも時間を最優先する場合もあります。学生時代の習慣が、無駄に時間を掛けてしまうことにつながるケースもあります。

また学校での成績が優秀だと、先生はもとより周囲の人たちからも一目置かれてきたせいで、どうしてもプライドが高くなります。このプライドが高くなりすぎると、自分のやり方や自分のルール・方法論を変えることができなくなり、自分のやり方に固執して頑固になる人が出てきます。職場にとってはいずれも、チームを乱す要素になりかねません。