日本では明確に高齢者に被害が集中していました。厚生労働省の『新型コロナウイルス感染症の国内発生動向(速報値、令和3年6月30日18時時点)』によると、80代以上の死亡率は50代の47倍、40代の100倍以上です。

全国各地で入院中、入所中の高齢者にまで接種が完了しつつありますから、ほぼ完了したと考えて良いと思います。この点からも、オリンピックの無観客方針が非科学的な政策決定であるかがうかがえます。

日本には様々なアドバンテージがありました。

昨年から私は自身のブログにもつづってきましたが、日本は自ら持っているアドバンテージを捨てて自滅の道を進んできました。何よりもウイルスに打ち勝とうとする積極策が一つもありませんでした。以下はその一例です。

□ コロナは国別に被害が異なり、日本の流行被害は比較的小規模であることを無視して恐怖をあおった
□ 無症状が多いウイルスであるが、PCR検査によるクラスター追跡で封じ込めを画策し破綻した
□ 国産のステロイド吸入、イベルメクチンを持っていたにもかかわらず、初期治療を行うことをしなかった
□ 初期診療設計を怠り、医療の逼迫を招いた
□ 全国の医療者でうまくやっているモデルを紹介していくことなどをしなかった
□ 国民どうしの接触をたち、自粛によって陽性者を減らす施策に傾倒したため人災となった

「感染者数」だけで判断してはいけない

「感染拡大」という言葉もしっかりと吟味する必要があります。政府やメディアでは、検査陽性者を「感染者」と呼んでいます。しかし、実際はその全員が「発症者」ではないのです。その点に触れず陽性者数を発症者のように「感染者数」と呼んで情報を垂れ流すのは狡猾こうかつだと思います。

このウイルスは無症状の人が多く、陽性者数は調査数に比例します。熱や咳で医療機関に来た発症者を調べるインフルエンザの発症者数の計測と違います。

インフルの流行時期に、その無症状の人をクラスター追跡することはありません。私は、コロナはすでに日本全国に薄く無症状で広がっているので調査数に応じて陽性者数が認められるだろうと思っています。

素直にメディアから流れる情報を見れば東京の感染状況は、他県の数百倍から1000倍規模でコロナが大流行しています。他県は数人のところもあります。常識的に見て間違いでしょう。感染力の高いウイルスが東京にだけに1000倍も集中して流行することは考えづらいと思います。

なぜこんなことになるのか。調査件数が大幅に異なっていることが最大の原因です。

コロナ禍のステイホーム、テレビで観戦
写真=iStock.com/roibu
※写真はイメージです

東京は1日あたり1万件以上検査が行われていますが、他の道府県は1日の検査数は数百件程度です。ちなみに東京の陽性者は20代~30代が中心です。これまでの統計では彼らは無症状や軽症の人々です。ゆえに東京では「感染が広がっている」一方で重症者も死亡者も減少しているわけです。連日報道される感染者数は、調査基準が異なり比較できないうえに被害に直結しない数字を示し続けているだけです。