不動産投資の利回り計算の基礎

不動産投資の収益は、一般的に表面利回りや実質利回りで示されます。

表面利回りとは、物件価格に対してどの程度の家賃収入が得られるかを表すもので、表面的な収益性を示します。例えば1億円の物件で年間の家賃収入が750万円なら、750万円÷1億円で、表面利回りは7.5%です。

湖のウッドデッキにデッキチェアが2脚、左手に舟
写真=iStock.com/flyzone
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データを見ると、全国の一棟アパートの表面利回りは、2020年以降、8%台で推移しています(不動産投資と収益物件の情報サイト 健美の「収益物件市場動向マンスリーレポート」より)。

しかし、不動産投資には諸経費がかかります。入居者募集のための賃貸管理費や、建物管理費、固定資産税などで、物件価格の8~10%程度が目安と考えられます。さらに年数が経ってくれば修繕費も必要になります。

さらに考えておくべきなのが、空室率です。いくら立地が良くても空室のリスクはゼロではありません。想定空室率は立地などによって異なり、東京都心部であれば10%程度が目安になるかと思います。

これらの経費や空室率も考慮したのが、実質利回りです。実質利回りの計算式は【(年間家賃収入-年間経費-想定空室率に基づく家賃収入減分)÷物件価格×100】です。先ほどの例で、年間の経費が15%(113万円)、想定空室率が10%(75万円)とすると、実質利回りは5.7%(小数点第二位以下切り上げ)となります。想定空室率は、10%、20%などさまざまな数値で試算してみるといいでしょう。

東京の物件なら「キャッシュフロー2~3%」が目安

気になるのは、キャッシュフローです。キャッシュフローとは実際に得られた収入から、外部への支出を引いて手元に残る資金のことです。

例えば、物件価格1億円、自己資金2000万円、借入8000万円(金利2%・30年)のケースで、年間の家賃収入が750万円、ローン返済額が年間355万円、固定資産税や客付けのための賃貸管理費、メンテナンス等にかかる建物管理費などの諸経費が年間家賃の15%、想定空室率が10%の場合、キャッシュフローは約208万円です。

この208万円を物件価格の1億円で割った実質利回りは2.1%になります。東京都内の不動産は高いので、キャッシュフローベースで2~3%出れば十分な投資といったところでしょう。私は、イメージとして、債券に近いようなリターンだと考えています。目安としては、東京都内だと家賃の下落率が年0.5~1%程度、大きくても2%を見込んで投資していくということになります。