「高収入」「もともと資産家」でなくても大丈夫

セミリタイアができるのはどんな人か。肝心のお金の面から見ていきましょう。強調したいのは、莫大な資産がなくても、高収入の人でなくても、セミリタイアは不可能ではない、ということです。

セミリタイアができるのは、1億円の資産を持っている人でも、年収が1000万円以上の人でもありません。セミリタイアできるのは、「資産額」「セミリタイアしてからの定期的な収入」「セミリタイア後の支出」という3つのバランスが取れる人です。

例えば1億円の資産があり、それを3%で運用すれば、年間約240万円(税引き後、以下同)を得ることができます。ほかに個人事業などで年間260万円を得れば、年収は500万円で、ここから税や社会保険料を引いた額で暮らすことができれば、「セミリタイアはできる」ということになります。生活水準をかなり高いものに設定しなければ、1億円の金融資産があればセミリタイアはかなり現実的と言えるのです。

金融資産5000万円でもセミリタイアできる条件

1億円なければだめ、というわけではありません。

金融資産が5000万円、運用利回り3%では、運用益は年間150万円、税引き後約120万円です。年間の生活費として500万円必要なら、別途、400万円弱の収入が必要であり、それだと普通に働かなければならないでしょう。しかし年間支出が400万円であれば、働いて300万円弱の収入を得ればセミリタイアは可能、ということになります。

300万円の収入というのは、月額では25万円で、ご夫婦なら各自が13万円程度の収入を得ればいい計算です。それくらいならあまり無理せずに稼げる人も多いと考えられ、かなりリアリティがあると思いませんか。

では金融資産2000万円ではどうでしょうか。運用利回りが3%では運用益が60万円・手取りで約48万円です。月額にすると4万円強であり、月20万円で暮らせるなら、月16万円稼げばセミリタイアは可能です。仮に運用利回りを5%と想定すると、運用益は100万円・手取りで約80万円(月額約6万6000円)に増え、月約13万円稼げばいい、という計算になります。

これらは一定の資産を運用した場合の運用益を想定したものであり、投資元本を取り崩していく想定であれば、さらにハードルは低くなります。莫大な資産がなくても、的確な運用をし、それなりに働く、あるいは支出を抑えられれば、セミリタイアは全く夢ではないのです。