離婚調停等では、母親が親権を得て、子供を引き取るケースが全体の9割を超えている。幼い子供について、裁判官は母親に親権を与える傾向が鮮明に見られる。

親権がなくても、親子関係の縁まで切れるわけではない。だが、わが子をどうしても手元に置いておきたい父親がいるのも確かだ。では、父親に不利な親権争いで、父親が親権を取るにはどうすればいいのだろうか。

離婚に関する著書も多い荘司雅彦弁護士によると、親権者の決定は「子の福祉」、つまり、子供の成長にとって有意義かどうかがポイントになるという。

「なんといっても養育実績。実際に子供の面倒を一生懸命に見てきたという、普段からの行動がモノをいう」(荘司弁護士)

子供が家にいる時間帯も、仕事が忙しくて面倒が見られなければ、親や兄弟姉妹に預けて面倒を見てもらうといい。

「友人でも、親族に準じるぐらいの親密な付き合いがあれば、子供を預けることが養育実績に含まれうる。ただし、再婚相手の候補や、不倫関係にある愛人の女性に預けるのは、裁判所が『子の福祉に望ましくない』と考えて、むしろ不利に作用する可能性もある。嫉妬による児童虐待の危険がないとも言い切れないため」(同)

また、子供の養育実績を客観的に残しておくこと、すなわち証拠の確保も大切だ。

荘司弁護士の説明によると、子供と一緒に遊んだり出かけたりしている様子を、日頃から見かけている近所の人々から「陳述書」をもらえる態勢を整えておくのが望ましいという。幼稚園や保育園の送り迎えをしていたなら、先生や保母さんからも陳述書をもらっておきたい。

また、家の中でどのように子供の面倒を見てきたか、日常的に日記やメモに残しておくことも効果的だ。