先輩の意見と真逆でも進言する勇気を持つ

先輩の言うことに従うのは、とても簡単でラクな方法だ。なぜなら、人の言うことに従うのが、一番自分が傷つかない方法だからである。

「決めたのはあの人だから仕方ない」「自分は指示どおりにやっただけ」と言い訳しながら誰かの指示に従っていれば、わたしたちは責任を転嫁できてしまう。

方針や行動を先輩のせいにして、自分が恥から逃げるのは簡単だ。しかしそれではいつまで経ってもその仕事は「先輩の仕事」のままで「あなたの仕事」にはならない。

目の前の仕事を「自分の仕事」と胸を張って言えるようにするために、思ったことは正直に言おう。自分の意志に反した仕事は、決して「自分の仕事」にはならない。

少しでもおかしいと思うことがあれば、相手が先輩であろうと進言する勇気が必要だ。

ただし先輩に意見を言うときは気をつけなければいけない。あなたがどれだけ正しいことを言っても、先輩の中の「間違いを認めることに対する恥ずかしさ」があなたに牙をむく可能性があるからだ。

「間違っていると思います」と否定から入るのではなく、「先輩の話を聞いていたら思いついたんですが」とあくまで先輩の発言を立てれば、相手を刺激しない。

力の強い相手と向き合うときは、相手の力を利用して返す合気道のようなコミュニケーションがうまくいく。打撃に打撃で対抗すると殴り合いになり、競り負けてしまうのだ。

経緯や言い訳から報告しない

上司や取引先に報告するときは、結果から報告しよう。経緯や言い訳から始めてはいけない。仕事の中で起こるトラブルの原因が、誰か一人に100%責任があるということはあまりない。

そのミスを防ぐために事前に個人ができた対策はあったかもしれないが、多くの人がかかわるプロジェクトでは不可抗力が存在することも確かだ。このことは、報告する相手も社会人経験の中でもちろん織り込み済みである。

にもかかわらず、私たちはつい恥に負けて、自分の無実を証明しようとしてしまう。悪いのはあなただけではないということをすでに了解している相手に言い訳から始めてしまうと、あなたが自分を守ろうとしている人に見えてしまう。

相手が知りたいのは「あなたが悪くない理由」ではない。にもかかわらず、結果的に仕事よりも自分を守ることを優先していると相手に感じさせてしまう。ミスをしたことよりも、言い訳から始めたことで信頼を失ってしまうのだ。

理想の自分像が強い人ほど、そこから外れて感じる恥も比例して強くなる。自分を守ろうとした結果、逆効果になってしまう。まずは自分の不十分さを受け入れて、事実に基づいて結果を説明する以外に信頼を回復する方法はない。