ときどき売れっ子コピーライターのように、「うまいことを言いたい!」と言う人もいますが、いきなりそれに挑戦するのは危険。まずは基本である、伝えたいことを正しく伝えることから始めましょう。実際には、スタイリッシュな表現よりも、シンプルでわかりやすい表現のほうが賞賛の声が集まりやすいのが事実です。

「君の文章は読みにくい!」と指摘された経験のある人もいるでしょう。伝わりにくい文章の要因として、「一文が長い」というものがあります。書きたいことが多すぎて、情報を整理されないままに書くと、だらだらと長い文章になり、「ちょっと何言ってるかわからない」と言われてしまいます。

解決法としては、先ほど述べた5W1Hでの情報整理をすること。そして、「一文は短く書く」を意識してみてください。

例として、だらだらと長く書かれた文をひとつ挙げてみます。

「新たな事業戦略における具体的な取り組みについて説明しますが、まずその前に、業界トップシェアを誇る自社開発した画期的なAIシステムに当社は力を入れている背景もありますので、本題に入る前にそこから語るとして、そして弊社の戦略について紹介をさせてください」

非常に長い一文で、意味が取りづらく、途中で読むのをやめてしまった人もいるでしょう。

「一文は短く書く」の法則。実践すると、このような文に生まれ変わります。「新たな事業戦略における具体的な取り組みを説明します。前段として、自社開発した画期的なAIシステムについて紹介をさせてください。業界トップシェアを誇るもので、当社が力を入れているものになります」。

先ほどより、格段に読みやすくなったと思います。短い文章に慣れないうちは、「こんなに短く切っていいの?」と不安になるかもしれません。しかし正しく情報を伝えるために、ぜひ意識してほしいテクニックです。

スッキリした文章にするために、余計な表現が入り込んでいないかもチェックしましょう。なくても意味が伝わる言葉、私はそれを「ぜいにく言葉」と呼び、日々表現のダイエットに努めています。

やってしまいがちな「ぜいにく言葉」の例を図の「POINT2」にまとめました。カットするだけで格段に読みやすい文章になりますので、お試しください。

POINT2 書かなくてもいい「ぜいにく言葉」は容赦なくカットしよう

文章は頭から書いてはいけない

文章を書いていたら、途中で止まってしまい、苦しい思いをした経験がある人は多いでしょう。原因は2つほど考えられます。

まずは文章を頭から、順番どおりに書くことにこだわっていること。話の流れを守ろうとすると、あとで書こうと思っていたことを忘れてしまったり、次の話題を書きたいのにうまいつながりが書けずに、野垂れ死に、という悲劇が起こります。

対処法は、話の流れは無視すること。頭に浮かんでいることから、書き始めましょう。思いついたことから、パズルのピースのように文章を埋めていくのです。もちろん、最初は文章になっていなくてもOK。あとから文章になるように仕上げていけば、何ら問題はありません。