発酵乳を少し入れた「さっぱりバニラ」が人気
なぜ、バニラモナカとチョコモナカはカニバリしないのか。
「『消費者がバニラモナカアイスに求める価値は何か』を追求し、差別化していきました。当初は濃厚でリッチな味わいを訴求しましたが、“濃厚=重たい”という方向一点張りでもダメ。消費者調査をしても『さっぱりしているから毎日でも飽きない』という声もいただきます。実は、ほんの少し発酵乳を使うなど工夫を凝らしているのです」(村田さん)
アイスクリーム全体のフレーバーでは、どんなに時代が変わってもバニラ味が人気ナンバー1だ。グローバルで展開する競合メーカーを取材すると、「ここまでバニラフレーバーが支持されるのは日本市場だけ」とも聞く。バニラ好きの人は、その分こだわりも強い。
パリパリ感を保つため「チョコの壁」を発明
最近の好調を支えるのが、絶えざる改良だ。今年3月には「チョコの壁」と呼ぶ新技術を導入したリニューアル商品を販売した。
「チョコモナカジャンボが掲げる『パリパリ食感』をバニラモナカジャンボでも追求しようと考え続け、モナカの吸湿を防ぐ『チョコの壁』の技術にたどり着きました。構想したのは3年前の2018年で、それから試行錯誤を続けました」
研究開発を担当した森田健一さん(森永製菓 研究所 未来価値創造センター)はこう説明する。森田さんは「低糖質焼成スナック食品」の共同開発にも携わり、特許を取得した研究者だ。
姉妹ブランドとはいえ、バニラモナカとチョコモナカは商品設計が異なる。
簡単に説明すると「モナカの内側にチョコをコーティング」という技術は共通で、バニラモナカには「アイスの両サイドにホワイトチョコの壁」をつけた。「チョコの壁」を充填すると、モナカの皮がすき間部分から吸湿を抑え、パリパリ感を保てるという。
そもそもアイスの種類別では、前者は「アイスクリーム」(乳固形分15%以上・うち乳脂肪8%以上)で、後者は「アイスミルク」(乳固形分10%以上・うち乳脂肪3%以上)だ。種類別には「ラクトアイス」(乳固形分3%以上)と「氷菓」(それ以外)を加えた4種類があるが、「最近の消費者は種類別もくわしく、味わいにこだわる」と聞く。