東京五輪で来日する国際オリンピック委員会(IOC)の幹部が宿泊するホテルの宿泊料について、招致委員会の求めに応じ「IOCが全額負担することになった」と朝日新聞が報じた。IOCは「四つ星~五つ星のホテルを1600室、33泊確保すること」を開催都市契約に付随する要件で義務付けているといい、IOCの“金満体質”に改めて注目が集まっている。
23年前に開かれた長野冬季五輪(1998年)では、招致、大会実施の過程でIOC委員への度を越した接待が行われていた。AERA dot.編集部は長野冬季五輪招致における不正について追及した「長野県」調査委員会の膨大な報告書全文(2005年11月)を入手。報告書には、県の交付金などを原資とした金の使い道や、招致委員会の会計帳簿が処分された事実、使途不明金約9000万円の発生、IOC委員たちへの過剰な接待を裏付ける資料など、腐敗した五輪招致活動の驚くべき実態がまとめられていた。調査メンバーの一人だった後藤雄一さん(71歳、元東京都議会議員)に資料を読み解いてもらった。前編ではIOC貴族への過剰接待を徹底検証する。
「長野県」調査委員会は、長野五輪後の2000年に長野県知事に就任した田中康夫氏が設置した第三者機関だ。報告書は、1年9カ月の調査を経て05年11月に田中知事に提出された。
後藤さんはこう語る。
「長野五輪招致の時、誰がどのIOC委員に何をプレゼントしたかを示す贈呈品リストが残っていました。IOC委員が、自分たちを貴族だと勘違いしているのは、そう思わせるかのように周りがおだてているから。ホテルや飛行機、ヘリの手配だけでなく、行けば何かもらえる、最高級のものを食べられるといった、鴨が葱を背負ってくるようなものでした」
報告書には、調査委員会が入手した「IOC委員等に渡した招致物品一覧表」が資料として残されている。このなかにあるのが、後藤さんが指摘した贈呈品リストだ。