メルケル独首相は米中「新冷戦」を懸念

「G7の対中国政策 世界の分断招かぬように」との見出しを立てるのは、6月15日付の毎日新聞の社説だ。

その毎日社説は中盤で「しかし、長時間の議論では、G7内の温度差も鮮明になった」「中国を強い表現で非難するよう主張した米国に英国とカナダが同調し、ドイツ、フランス、イタリアが慎重な姿勢で足並みをそろえた。日本は『深い懸念』を表明し、G7の連携を促した」と指摘したうえで、こう解説する。

「耳を傾けたいのは、メルケル独首相の主張だ。国際ルールの重要性を指摘する一方、協調にも配慮したアプローチが必要だと訴えたという」
「メルケル氏の念頭にあるのは米中『新冷戦』への懸念だろう。『世界を再び二つの陣営に分けるべきではない』というのが持論だ」
「冷戦時代にドイツは米ソ対立の最前線に置かれた。緊張にさらされ続けた国のリーダーならではの調和を求める世界観だ」

ドイツがその過酷な経験から米中の「新冷戦」を避けたい気持ちはよく分かる。しかし、それだからと言って中国の覇権主義と専制主義をそのままにしておくわけにはいかない、と沙鴎一歩は考える。

中国の兵士と紫禁城(2012年4月6日)
写真=iStock.com/xingmin07
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菅政権の外交力が東京五輪で試される

毎日社説はさらに指摘する。

「G7が団結して中国排除に動けば世界の分断を招く。結束が緩めば中国の影響力の増大を許す。問われるのは、安定につながるバランスをどうとるかだ」

国際社会ではこのバランス感覚が欠かせない。いま世界は「欧米」対「中国・ロシア」、「民主主義」対「専制主義」に分かれ、「分断」はすでに起きている。対中国ではアメとムチをうまく使い分け、なるべく分断を少なく抑え込む必要がある。

最後に毎日社説はこう主張する。

「日本も人ごとではない。『新冷戦』になれば米中対立の最前線に立たされる。それを回避する外交努力こそが、菅義偉政権に求められるのではないか」

菅政権の外交力が試される。直近の舞台は東京五輪になるだろう。問題の中国をどのように対処するのか、沙鴎一歩はしっかり見届けたい。

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