質問2 夢を叶えると周りの人に何ができる?

こういうときには自分が夢を叶えることによって「周りの人にどんな影響を与えられるのか」という視点を持つことが大切です。

夢を叶え「自分が得られるもの」を考えることは、一つのモチベーションになるのは間違いありません。

しかし、それだけではなく「周りの人に影響を与える」という視点も、モチベーションを保つ要素になります。

人に対して何かを与えようと考えられる人は、「幸せな時間を過ごせている」という心理学の研究結果もあるほどです。

例えば、私がサポートする陸上選手で、大学生のスグルくんは、「家族、応援してくれている人、今まで自分に陸上を教えてくれた指導者に対して、喜んでもらいたい。その人たちのためにも結果を出したい」

そんな強い気持ちが、自分を支える柱になっていると話してくれました。

「自分のために競技を頑張るというよりは、みんなを笑顔にするためのほうが、モチベーションが高まります」

彼は、人のために頑張るという軸を持っていたことで、苦しい状況に追い込まれたときでも「今自分がどうあるべきか?」と、常に気持ちを切り替えて競技と向き合うことができていました。

陸上競技
写真=iStock.com/stefanschurr
※写真はイメージです

他人の成功や環境に左右されないモチベーションを作れていたのです。

スグルくんは大きな壁を何度も乗り越え、毎年1月に行われる箱根駅伝で活躍し、長年の夢を叶えました。

親御さんが涙を流して喜んでくれたことを、嬉しそうに話してくれた姿は私にとっても感動的な瞬間で、大切な時間になりました。

2021年の東京オリンピックを見て、多くの子どもたちが夢を持つきっかけになるでしょう。子どもの目標設定をサポートするとき、その夢を叶えた先に「どんなことを与えられる人になるか」という視点を頭の片隅に置きながらコミュニケーションを取ってもらいたいと思います。

辛いことやきつい思いをしているときに、「自分のために」と「人のために」。この2つの視点が心の支えとなってくれるでしょう。

練習が嫌いな子

「地味な練習も大切だよ」

いつも子どもにそう伝えていますが、うまく伝わらず困った様子のお母さんが相談に訪れました。

「試合は楽しそうに頑張っているのですが、練習が嫌いみたいで、いつも行きたくないと言うんです」

お母さんの悩みの種は小学4年生のユウキくん。4月から野球チームに入りましたが、なかなか練習に前向きになってくれません。

「楽しくないことはやりたくない」というユウキくんに詳しく話を聞くと、自分でも練習が大切なのはわかっているけれど気持ちがついてこない様子でした。