実は、このレジスタントスターチが、炭水化物の糖質(でんぷん)の中に含まれていて、食物繊維と同じような、いやそれ以上の働きをするのです。

食物繊維は性質によって2つに分けられます。腸の善玉菌の栄養になる水溶性食物繊維と、腸にたまった有害物質を回収する不溶性食物繊維です。この2種類の食物繊維の働きを、たった1つでこなしてしまうのが、レジスタントスターチなのです。

健康な腸を持つビジネスマン
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レジスタントスターチならカロリーは半分

レジスタントスターチのすごい機能は、もうひとつあります。

通常、食物繊維は大腸と肛門をつなぐ直腸を素通りしてしまいますが、レジスタントスターチは違います。有害物質を回収しながら、善玉菌や短鎖脂肪酸を直腸までしっかりと届けることができます。短鎖脂肪酸には、粘膜を強化して免疫力をアップさせる効果があります。

直腸は大腸がんの発症がもっとも多い部位です。レジスタントスターチ以外の食物繊維をいくらたっぷり摂っていても、直腸の環境をよくしなければ、そこからさまざまな疾病が発症してしまうかもしれません。

直腸には老廃物や毒素がたまりやすいため、その環境をよくすることは、からだ全体の健康にとっても重要です。有害物質の掃除屋として非常に優秀なレジスタントスターチは、直腸まで元気にしてくれる「ハイパー食物繊維」なのです。

さらに、レジスタントスターチには不思議な特徴があります。それは、「冷ますと増える」こと。例えば、炊きたてご飯よりも、冷ましたご飯のほうが、約1.6倍もレジスタントスターチの量が増えます。

お弁当はレンジでチンしないで食べよう

お弁当や、冷ましたご飯を電子レンジで加熱すると、冷めているときよりもレジスタントスターチの量は減ってしまいます。しかし、炊きたてのご飯よりは多くのレジスタントスターチを摂ることができます。

お弁当は冷めたまま食べるのがベストです。ただし、あたたかいものを食べたいときは、適宜電子レンジを使用するのもよいでしょう。

なぜ、昔の人はたくさんご飯を食べていたのに、やせていたのか? 

それは、レジスタントスターチをたっぷり摂っていたからです。保温技術が今ほど進んでいなかった昔は、レジスタントスターチを多く含む「冷めたご飯」をたくさん食べていたのは間違いないでしょう。レジスタントスターチを十分に摂っていると、腸内環境が常に良好な状態になり、脂肪の蓄積を防ぐことができるのです。

現在、私たちはいつでもどこでも「温かいご飯」を食べられるようになりました。炊飯ジャーは常時ホカホカのご飯を用意してくれますし、冷蔵・冷凍したご飯も電子レンジで簡単に温め直すことができます。